「マイクロトレンド 世の中を動かす1%の人々」

たまにはビジネス関係の本を読もうと
去年の夏に買って、ずっとほったらかしていた。


「マイクロトレンド 世の中を動かす1%の人々」マーク・J. ペン著
http://www.amazon.co.jp/dp/4140812850/


著者はトニー・ブレアヒラリー・クリントン選挙参謀を務めた
天才的なマーケティングコンサルタント
各種の数値指標を読みといて世の中の隠れたトレンドを見出し、
浮動票をがっつりとものにする。
ビル・クリントンの2回目の大統領選挙の際に、
子どもたちの教育や課外活動に熱心な中産階級の母親である
「サッカーママ」なるトレンドを”発見”して再選に導いたのは
その筋ではとても有名な話であるらしい。
(セグメントで言えば、都市郊外に住む大卒女性ってことになる)


20世紀の終わりまで、トレンドというのはでかければでかいほどよかった。
アメリカも日本も一緒。バブルの頃を思い起こすまでもないですね。
シェア何十パーセントというメガトレンドが市場を制する。
しかし21世紀の今、探すべきはマイクロトレンドであると著者は語る。
「ライフスタイルの変化、インターネットの普及、
 コミュニケーションの細分化、経済のグローバル化によって、
 新たな意味での個人化が進み、それが社会に大きな影響を及ぼしている」


多様化が叫ばれる昨今、
正しいとされるものも人の価値観によって異なってくるわけで。
そんな時代にトレンドというものはより短命に、より使い捨てになっていく。
だったら小さなトレンドを素早くキャッチして
どんどんサーフィンしていったほうがいい。
人口の1%の人が興味を持つだけで
何百万と売れ、十分にベストセラーとなる。
そしてそれがより大きな波を生み出していく。


ということで、著者が気になっているトレンドが
(日本版では)41個取り上げられて解説される。
一例を挙げると、
・ネット婚カップ
・高齢の新米パパ
・超距離通勤者
・片付けられない上流階級
・自分で診療する素人
・子どものベジタリアン
・ハイテク好きの女性


などなど。
アーこういう人たち、確かに身の回りにいるなあ、いそうだなあと思う。
そして、社会にはもっといそうだなと。
マーケティングの専門家に言われるとすっかりその気になってしまう・・・


この手のマイクロトレンド、自分でアンテナを張って、
街を歩いて探してみると面白いのではないか。
いろいろとありそう。
花粉症でもないのにこの季節、マスクをして歩いてる人だとか。
花粉症になりたくないわけですよね。
花粉症になってしまった人たちの市場だけでなく、
花粉症を恐れる人たち向けの市場。
これって、大きそう。
治療と予防では、売れるものも違いますよね。

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この本、日本版は「下流社会」という時代のキーワードを生み出した
三浦展氏が監修となってて、
各章の終わりに「じゃあ日本では?」と書いてるんだけど、
これが何かっつうと格差社会を持ち出して、ちょっとうざい。
言われなくてもそれぐらいわかってるわ、と。
amazon の書評を見てもそういう意見がちらほらと。


そこのところが残念な本。

マイクロトレンド―世の中を動かす1%の人びと

マイクロトレンド―世の中を動かす1%の人びと