「エイリアン」における猫の存在について、その前段

編集学校の応用コース「破」では約1ヶ月単位で4つのカリキュラムがあって、
そのうちの3つ目が物語編集術となる。
そこでは「物語を書く」ことが最終的な目的とされる。
みんながみんな僕みたいな小説家志望でこれまで書いてきたわけではなく、
ほとんどの人が初めて。
なので手順を踏んで、書いていくことになる。


カルチャーセンターではないので、文章の上手い下手は指導されない。
物語には「構造」というものがあって、
その型を自分なりに見出してその流れに当てはめていくならば
ごくごく基本的な物語になりますよ、というものだ。
物語の原型にはいくつかパターンがあるが、
ここではジョゼフ・キャンベルが解明した英雄伝説のモデルを利用することになる。
「セパレーション」(出発)→「イニシエーション」(試練)→「リターン」(帰還)


学生時代にジョゼフ・キャンベルの薫陶を受けたジョージ・ルーカス
正にこの形式で「スター・ウォーズ」のストーリーを構築したのは有名な話。
日本の昔話だと、「桃太郎」なんかもこの型なんですね。
紀元前のギリシアで成立した叙事詩オデュッセイア」にも現れているように、
古来から人々はこの原型を利用して物語を語ってきた。


じゃあその抽象的なモデルを図解されてそれで書けと言われるかというとそんなことはなく、
お手本をいくつか挙げられて、まずはその構造を読み取ってみなさい、という稽古から始まる。
「エイリアン」「スター・ウォーズ」「寅さん」「ドラえもん」「007」
誰もが知っているこれらの作品もまた、実は英雄伝説に基づいてるんですね。
どれか1本選んで、主人公とそれに対立する人物とは誰か、どういう人物か、
両者にどういう葛藤があるのか、それがどういうシーンに現れているか、
などなど読み解いていく。


それを独自の設定、話の運びに「翻案」して、自分なりの物語として完成させる。
そこで「できました」「よかったね」で終わることはなく、
教室全体でコンテストがあるので、僕みたいな人間は燃えることになる。
今週末が締め切り。割けるだけの時間を割いてブラッシュアップして提出したい。
単にコンテストだからいい記録残したいってだけではなくて、
僕としては「なぜ僕は小説家になれなかったのか?」って思いから編集学校の門を叩いているので、
これまであれこれハードな稽古を行っていく中で「そうか、そうだったのか」と思ったところを
作品として結実させて、その評価を通じて「僕はまだ小説家を目指せる」っていう自信につなげたい。
何もここでいい賞を取ったらやがて小説家になれるわけじゃなくて、
そこには何の関係もなくて、そっから先は自分自身の問題なわけだけど。
まあ、要するに今後を占うってことですよ。


それにしても、歴代の優秀作品を読んでみると
「これが寅さん?」「これがエイリアン?」って驚くような
全然かけ離れたユニークなものに仕上がってるんですね。
その辺は僕が編集学校を知るきっかけとなった、「物語編集力」という本に集まっていて。
http://www.amazon.co.jp/dp/4478003866/
冒頭の作品「盂蘭盆会」ってのが神懸り的にすごい。
(とはいえ、この本そのものが具体的になんかの役に立つかといえばそれはなくて、
 あくまで編集学校のイントロダクションなのだと思う。
 現時点で1コだけのユーザーレビューの内容がそれを物語っている。
 指摘されたことは僕も同意する)


そんで僕は「エイリアン」を元に、
バンコクを舞台に銀行強盗をするチンピラたちの話を今、必死になって書いてるわけで。


表題の件、「エイリアン」における猫の存在について書こうとしたら
その前段だけで長くなってしまった。
本題は明日。