「時をかける少女」「2001年宇宙の旅」

8/29(土)
新宿高島屋テアトルタイムズスクエアが8月末をもって閉館。
その「閉館特別上映」が最終週の1週間に行われた。
http://www.eigaseikatu.com/news/21044/37385/


2001年宇宙の旅」が上映されると知り、だったら大画面で見たいなと思う。
映画部の後輩が、その前の「時をかける少女」も面白いですよと言うので両方見に行く。


高島屋のオープン時間は10時。20分ぐらい前に着く。
最初サザンテラスの方の入口に行ってみたらハンズの前はハンズメッセ真っ盛りで
「スポンジ詰め放題」というイベントに、オープン前だというのに大勢の人が並んでいた。
なんなんだろ。とても気になる。
そこまでしてスポンジって欲しいもんかねえ。
僕が主婦じゃないからそう思うのか。
それとも、「詰め放題」ってのが人は大好きなもんであって、
中身はぶっちゃけ何でもよいのだろうか?


高島屋自体も、正面玄関に回ると即にオープン前の列が長々と。
別の入口に回って待つ。
時をかける少女」って僕、どっかで名前を聞いたことがあるぐらいで、
それまで全く興味が無かった。
ふーん、リメイクなんだろうな。っていうぐらいの。
でも、今回調べてみたらとても人気あるみたいなんですね。
なのでこれ、早めに行かないと席がなくなりそうで。
10時を待って開店して、12階までのエレベーターがなかったから
エスカレーターをダッシュしたんだけど、
それでも12階のチケット売り場は長蛇の列。びびった。
その後どんどん列が長くなっていく。
HMVの前をウネウネと通り抜けてフロアの反対端へ。
普段からこの 1/10 でも人が並んでいたら閉館することはなかっただろうに。


みんな「時をかける少女」かと思いきや、
その後の作品の入場券を入手しようとしている人も多かった。
この日は「時をかける少女」「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」「ダークナイト
という上映ラインナップがよかったし、
しかもどれ見ても1000円という安さが魅力だった。
2001年宇宙の旅」も「未知との遭遇」も立ち見になっていた。


10時半から「時をかける少女」を上映の予定が、並んだ人たちが入りきれなくて押しまくる。
結局11時近くになったのかな。当然ながら場内満員。
勧めてくれた後輩と一緒に見る。

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時をかける少女」が始まる。
オリジナルを僕は見たことがない。大林宣彦が監督。主演の原田知世が歌う主題歌が懐かしい。
でも、学校が舞台で理科室のシーンがあることぐらいは知っている。
最初の方で実際にその通りのシーンが出てきて、
主人公の女の子が「タイムリープ」する能力を身につける。好きなだけ時間を過去に戻せる。
「ふーん」と思いながら見ていく。
せっかく「タイムリープ」できるようになったのに、遅刻しそうになって時間を戻すとか、
妹が昨晩食べた自分のプリンが悔しくて昨日に戻るとか、たわいのないことにしか使わない。
話の内容も恋の鞘当がどうのこうのって甘酸っぱい学園もの特有のテーマ全開で。
で、この女の子の主人公がかっこいい男の子2人と放課後いつも野球をしてて、
でも2人には恋心は全く抱いてなくて、妙な三角関係が続く。
この歯がゆさがアニメファンの琴線をくすぐるのか?と思った。


それが後半。気が付いたら涙なしには見れなかった。
女の子は恋をすることのなんたるかを知る。別れの寂しさを知る。ほんのちょっとだけ大人になる。
助けたい人がいて、一生懸命になって時間を戻そうとする。
走る。時間を飛び越えようとして、思いっきり地面を蹴る。
まっすぐでひたむき。その泣いたり笑ったりの一つ一つが見てて、キュンとなる。


見終わって、「奇跡」だと思った。
とてつもない魔法がかかってる。キャラクター造形がいいとかそんなレベルじゃない。
物語の本質的な部分で、とても切ない。
切ないということのなんたるかを、ここまで正面切って描かれると勝てない。
こんな面白いよくできた日本映画、90年代以後他にないのでは?
僕には思いつかない。
生涯ベスト5に僕は推すね。「七人の侍」とか「東京物語」と並んで。


時間が止まった世界の描写が、とても美しい。
この監督は映画としてこれを描きたかったんだろうな。
それがここまでうまくいって、監督冥利に尽きると思う。
とにかく、幸福な映画だ。


見終わって後輩曰く、
「永遠と一瞬が常にあるじゃないですか」
なるほど、と思った。そうか、そうなのだ。

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2001年宇宙の旅」はもう何度見たことか。
正に2001年のリバイバル上映で初めて劇場で見たときはとても感動した。
あのときのような感動はない。


でも、それでも、やはりこの映画はいい。別格だ。
モノリスに触れた猿が骨を道具として使うことを覚え、
思いっきり振りかざす場面に流れる「ツァラトゥストラはかく語りき」はたまらなく興奮するし、
宇宙船内のスチュワーデスが逆さまになって回転しながら歩く場面は
相変わらず「どうやって撮ってんだろう?」と不思議だし、
ポッドに乗って宇宙空間に出たフランクの呼吸の音が怖くてたまらないし。
例のクライマックスのサイケデリックの映像はこれが一生続いてもいいやと思う。
そして最後の、あの白い部屋が広がった瞬間の恐ろしさ。


冒頭の、月と地球と太陽が一直線に並んだ場面の「ツァラトゥストラはかく語りき
あれだけでもうノックアウト。
あんなにパワフルで神々しい映像って他にないよね。
家に大画面のテレビがあって一人で見てたら絶対、ウォーッて吠えると思う。


今回初めて気が付いたんですが、
始まる前とエンドクレジットが流れた後って映像が途切れて何も映ってない暗闇だけで、
そこに音楽が流れているんですね。
最後の「美しき青きドナウ」はあんなに長かっただろうか?
フェードアウトせずに、1曲丸ごと聞かせる。
あれって、どういう意味というか意図があるんだろう。
キューブリックのことだから、凡人には計り知れない何かがありそうで怖い。


それにしても、いまだにコンピュータ「HAL」の暴走の理由がいまだに分からない。
別に分かんないままでいいけど。