「コルテオ」

昨日の夜、会社のイベントでシルク・ドゥ・ソレイユの『コルテオ』を見に行った。
シルク・ドゥ・ソレイユはこれで2回目。
2005年の秋に『アレグリア2』をこれまた会社のイベントで。
えーあれはもう4年以上前になるのか。早いなあ。


場所は同じく、代々木体育館の辺りの特設テント。
17時半の定時で仕事を切り上げて神保町から明治神宮前へ。
(予定されていた打ち合わせを全て無視して、とにかく終わらせることに注力した)
18時開場とほぼ同時に到着した。
18時半まで席には入れないとのことで、ロビーで待つ。
天井から吊り下げられた大きなモニターで
コルテオ』の見どころだとかシルク・ドゥ・ソレイユの歴史についてのビデオを見る。
なぜか会社からはサンドイッチが配られる。
しかし昼、今年初「まんてん」だった僕は腹が減ってなくて、食べずに持ち帰ってくる。


客席へ。
アレグリア2』とは違って、ステージをぐるっと円形に取り囲む配置だった。
サーカスっぽくていい。
ステージもまた円形で、それを通路が貫いている。1個だけ串に刺さった団子のよう。
その通路を挟むようにして、半透明のカーテンが両側に吊り下げられていた。
中世の宗教画をコミカルにしたような雰囲気の、
サーカスか楽団をモチーフにした図柄だったように思う。


演目が始まる。
コルテオ」とはイタリア語で葬列を意味するのだという。
年老いて死を前にしたクラウン(道化師)の回想という形で、物語が語られる。
天使たちが宙に浮かび、
スルスルと下りてきた大きなシャンデリアに女性たちがぶら下がってアクロバットを演じる・・・


やってることはトランポリン、鉄棒、ホイール、空中ブランコ、綱渡り、ジャグリングなどなど、
アレグリア2』と変わらない、というか骨組みは普通のサーカス。
アレグリア2』のときには「なんだ、こんなもんか」と特に面白くは感じなかったけど、
なぜか今回は「いいね」と思った。
2回目だってのもあるし、
やはり死を前にした賑やかな回想ってので筋が一本通ってたのがよかったんだろうな。
アレグリア2』は今思うとただの幕の内弁当だった。


どれもよかったけど、一番唸らされたのは「デュオ・ストラップ」というやつ。
天井から伸びてきた2本の太い紐というかゴムなのだろうか。
男女のパフォーマーがそれを2人で1本ずつ掴んだり、1人で2本つかんだりして、
そこに男女が空中ブランコのように絡み合う。
宙に浮かんで回転したり上下しながら、お互いの手足や胴体を伝ってスルスルと舞い踊る。
これ、相当信頼してないと、っていうか
パートナーとして愛し合ってないとできないのではないか?
これがクライマックスかな。
最後から2番目で、フィナーレは大勢でアクロバティックな鉄棒。これも華やかでよかった。


あと、小人の女性が大きな風船を括りつけて宙を漂い、客席へ。
下りてくると近くの席の人たちが靴の裏を押し上げてまた宙へ、というのがよかった。


日本人が一人出演していて、ところどころ日本語でナレーションしていた。
主役のクラウンもたどたどしい日本語を話した。

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そういえばビートルズの曲をリミックスした音源を使った『LOVE』って日本ではやらないのだろうか?
あれが見てみたいんだけど。
プログラムを見たら、18禁のキャバレー風の作品やプールを使った作品もあるようで、
いつか機会があったらそういうのも見てみたいと思った。
今回2回目にして、割とはまりつつある。

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追記。
本当は11月中旬に見に行くはずだったのが、
この日ステージ脇で火事が発生したということで公演中止。
振替公演でこの日となった。

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さらに追記。大事なことを書き忘れた。


表現したい、演じたいことのアイデア、表に出てくるアイデアの豊富さもさることながら、
それを実現するための裏方的なアイデアの豊富さ、ここに尽きるのではないか。
頭上をせわしなく移動するレール。
これが滑らかに動くにはどれだけの工夫が必要とされるか。
サーカスとしての肉体的表現だけじゃない。
彼らもただ単にトランポリンの上を飛び跳ねているだけではなく、
その場を実現するためにどれだけの検討と調整と研究と開発がなされたか。
その上をパフォーマーは跳んでいるのである。