からっぽな天国

イスラームの話、続き。
クルアーンコーランのこと)の入門書として
講談社現代新書の『聖典クルアーン」の思想』というのを読んだ。
あれこれ興味深いことが書かれていたんだけど、
僕個人としてとても興味を持ったのが、来世と「最後の審判」の関係のところ。


日本人の感覚からすると、それを信じようと信じまいと
死んだらすぐ「あの世」なのか、極楽浄土なのか、
それとも天国と地獄なのか、そこに行くことになっている。


イスラームの場合、すぐそこに行くのではない。
最後の審判の日が来たら死者が呼び起こされて、
その人が生きている間に側に付き従っていた天使たちが
善行と悪行とを事細かに数え上げて記入した2つの書物が読み上げられて、
そこで初めて天国に行くのか地獄に行くのか決まるのだという。
それまで留保の状態が、ずっと続く。
このとき、来世的な場所にいるのではなく、あくまで現世にとどまっている。


…ということは、思うに、イスラム教の信者たちは7世紀からこの方
1人もあの世に行ってなくて、沈黙する死者として終末の日が訪れるのを待っている。
イスラム教における天国も地獄も
今、この時点ではどちらも人がいなくて空っぽなのである。
(解釈が間違っているかもしれない)


よく分からなくなってきたのは、キリスト教における終末思想。
一神教として、ユダヤ教キリスト教イスラム教のルーツは同じ)


キリスト教にも「最後の審判」がありますよね。
同じように死者が呼び起こされて
裁きを受けて永遠の生命を与えられるか地獄に落ちるか。
しかしその前に、イエス・キリストが再臨して
至福の千年王国が築かれ、その1000年を経た上で
悪魔との最終決戦(いわゆるハルマゲドン)がなされることになっている。はず。
これも結局その間、天国も地獄も空っぽなのか…
そもそも千年王国に生きるのが死者なのか、生者なのか。
さらっとWikipediaを参照するぐらいでは具体的なことが分からず。


今かなり混乱している。
例えば僕は『ヨハネの黙示録』がとても好きで
それだけで1冊持ってたりしたんだけど、
あれはハルマゲドンに向かう過程とその結末を描いていて、
かつ、苦よもぎの箇所はチェルノブイリの予言だったとかってなると
今は千年王国の真っ只中ってこと?
昔読んだときには『ヨハネの黙示録』のイメージに浸ってるだけで、
具体的にどういう状態にあるのかということは何も考えなかったなあ…


いや、これまでの十何世紀もの神学的研究により
諸説ありつつも説明がなんらかついているはずなのだが。
というか知ってる人からしたら「何言ってんだ? こいつは」という話。
この辺り、何がどうなっているのかもう少し掘り下げてみるか。