博多〜釜山 その8(3/20:楽天地)


JR博多シティ」の中は芋の子を洗うような大混雑。
エレベーターが行列でエスカレーターはもっと行列。
並んで、待って、乗って、次の階でまた並んで、待って、乗って。
館内全体が妙な熱気に溢れている。5階までの東急ハンズの人手が特にすごかった。
フロアガイドを眺めていたら9階・10階のレストラン街のうち、
10階に博多一口餃子の店「テムジン」があると知って、ああ昼はここがいいなあと。
牛歩のごとく進んでようやく辿り着いたらここがまたさらに大混雑。
どの店もウネウネと待ち行列で人垣のようになっている。
ああ、こりゃ入れんな…、と諦める。
せっかくの博多、こういうところで時間を使いたくない。
また時間をかけて下りていく。下りも上りと同じだけの時間がかかるとは。恐るべし。
8階に丸善、7階にタワレコがあるのを知って、帰りにまた寄ろうと思う。
飛行機の中と羽田からの帰り道に読む本を買わないと。


では昼はどこにするかってことで一昨日見かけた「元祖長浜屋」の向かいの「長浜将軍」にする。
地下鉄に乗って西の赤坂まで移動する。
既に14時過ぎ。飛行機は19時25分。
本当は1度空港まで行ってリュックをコインロッカーに預けるつもりが、
そんな暇ないなと1日中背負って歩く。
赤坂で下りて地上に出て、最初に見かけたコンビニでビニール傘を買って、「長浜将軍」へ。


それほど混んでなくて、すぐ入れる。
全部乗せ(?)の「将軍ラーメン」と一口餃子と生ビール。
癖がなくて食べやすい。あっさりとして、それでいてまろやかな味わい。
ここのとんこつラーメンは「元祖長浜屋」とは対極にあるね。
近くにあったら毎週食べに行くような。
「元祖長浜屋」は観光地の名物系ラーメンというか。和歌山で言ったら「井出商店」と一緒。
一度は食べてみるべきだけど、個性が強すぎる。
でも僕としては両方ありだな。
誰かとまた博多に来てラーメンを食べに行くというとき、
それが男性だったら「元祖長浜屋」にするし、女性とだったら「長浜将軍」にする。
固めの替玉にして、紅しょうがと辛子高菜を入れる。
ガイドブックを参照したら辛子高菜はここの店が発祥とのこと。
(将軍ラーメンが600円、替玉50円、一口餃子350円、生ビール500円。けっこう使った)


店を出て15時近く。さて、どうするか。
17時には後輩から聞いたもつ鍋の店「楽天地」に入りたい。あと2時間。
JR博多シティ」か、それともショッピングモールやホテルの集合体「キャナルシティ」か。
これはこれででかいみたいだし、後者かな。大きな本屋もあるだろう。
しかし、ここ赤坂からどう向かうと一番近いのか。
バスなんだろうけど、土地勘がないとどう乗り換えていいのかが分からない。
とりあえず地下鉄に乗って東へ博多駅方面まで行って、祇園で下りて歩いてみる。
雨の中、傘を差して全身ぐっしょり濡れて15分ぐらい歩いただろうか。
キャナルシティ」に着いたのだが…、
デパートとしてOPAが入っていて、本屋は聞いたことない店で、CDは新星堂だった。
これは違うな…、と思ってすぐにも出る。
子供向けのイベントで吹き抜けの高い空間を気球に乗って上下するというのをやってて、
大勢の家族連れが集まっていた。


博多駅に戻ろうと思うが、これ以上雨の中を歩きたくない。
バスに乗ることにする。「キャナルシティ」を出てすぐの停留所に行くと
ちょうど100円で中心部を循環するというバスが乗客を乗せている。
しかし既に満杯で乗れず。次のにする。すぐ来る。
しかし、このバスが乗っても全然動かなくて。あちこちで渋滞している。
3つ4つ進んで天神まで来たところで諦める。下りて地下街に入る。
南北に長い、黒を基調としたシックな通り。女性向けファッションの店が左右に並ぶ。
ここが雨の地上とは打って変わって人の往来が激しく、
地下鉄の駅に着いてもホームが大変なことに。朝のラッシュのよう。
博多っていつもこうなの??
一昨日には新幹線と空港が近くて便利と思ったけど、その代わりに道路が狭かったり…


博多駅まで再度地下鉄で移動して、「JR博多シティ」の丸善へ。
相変わらずエスカレーターは激混み。
丸善にてスペイン内戦かロシア革命について書かれた新書がないか探す。
ありそうでないもんなんですね。「文庫クセジュ」なら出てるけど確実に寝そう。
ようやく『ロルカ――スペインの魂』というのを見つけて、これでいいかと。
タワレコは小さくて特に見るほどのものでもなかった。


JR博多シティ」を出て、「楽天地」の駅前店を探す。割とすぐ見つかる。
17時の開店を待って入ったのだが、既に店はいっぱい。
予約してますか? と聞かれて「いえ」と答えると最初、断られそうになる。
それをなんとか2階の座席に入れてもらう。
http://www.rakutenti.jp/


メニューはもつ鍋と、つまみというか小鉢に酢もつとキムチしかない。
これらを単品(1人前、800円)で頼むかコース(1.5人前、1,900円)で頼むか。
コースにする。不思議なことに店の人曰く1人前だと足りなくて、
1人につき1.5人前か2人前がちょうどいい量なのだとのこと。
僕以外に2階は2組の男性客がいて、みな同じことを考える。
だったら最初から2人前を1人前にすればいいのに…
それはさておき、出てきたもつ鍋は
山盛りのキャベツとニラが突き上げんばかりになっていて
さすが本場は違うなあと嬉しくなる。
生ビールを飲みながら煮えるのを待つ。少しずつ山が小さくなっていく。
店の中の有線では90年代のヒット曲。
織田裕二の「歌えなかったラブソング」だとかイエローモンキーの「JAM」だとか。
店員のお兄さんが火加減を調整して、もういいですよと言ってくれるのを待つ。
出来上がったのを食べてみる。
しょうゆ味のあっさりスープなんだけど、煮込んだ野菜ともつが溶け合って…
深い。あまりにも味わい深い。ここまで来たらそんなふうにしか言えない。
僕がこれまで東京で食べてきたもつ鍋はいったいなんだったのだろう?
この3日間、何を食べても感激してきたけど、ああ…
最後にちゃんぽんを入れる。このシメが最高。


18時に店を出て、博多駅から2駅乗って空港へ。
さっさと手荷物検査を受けてロビーで搭乗を待つ。
直前になって機体変更があったようで事前に予約していた席から変わることになった。
恐らく小さくなったのだろう。
東京行きはさすがにこの状況だとガラガラで、後ろ1/4が空席。
なのに羽田空港が混んでいるということで離陸が20分ほど遅れた。
フライトの間ずっと、『ロルカ――スペインの魂』を読んでいる。
楽天地」のもつ鍋の余韻に浸って、ビールを飲みたいという誘惑と戦いながら。


羽田に着いて、モノレールで浜松町へ。
山手線で東京駅、丸の内線で荻窪へ。
この3日間、余震はあっても大きなものとはならず、東京は無事だった。
駅を出ると明かりが乏しかった。こんなだっただろうか?
どれだけ人が歩いていてもひっそりとしていて、街がくすんで見えた。


23時近く。部屋に帰ってくる。
特に積み上げていたCDラックや本棚が倒れたりはしていない。
念のため床に下ろしていたCDや本を元の場所に戻す。
そんなことをしているうちに眠る時間になる。
午前0時。