7時半起き。一風呂浴びた後に荷物をまとめてチェックアウト。
京都駅まで行ってコインロッカーに荷物を預けて
大学の友人と待ち合わせる。
この日は先日聞いた保津川下り。
http://www.hozugawakudari.jp/
9時ちょうど発の嵯峨野線に乗って舟の出る亀岡へ。
丹波口、二条、…映画村のある太秦、嵯峨嵐山、そして山の中。
保津峡は鉄橋の上に無人駅? 真下に川の流れる絶景だった。
周りに人の住んでいる気配がなくて、観光用の駅なのかな。
そして馬堀、亀岡。駅から出て乗り場まで5分ほど歩く。
一面、緑。どこまでも田舎。
田んぼが遠くまで広がるのんびりとした風景。虫の声。
(しかし駅の反対側はイオンや西友があって栄えている。不思議)
道路の中央には橋や岩など川下りの名所を模型にしたものが飾られている。
乗り場に着くとバスが乗り付けられ、観光客が下りてくる。
2回の受付へ。申込用紙に名前と住所と人数を記入して窓口で支払う。
大人1人3,900円。
本来は1時間に1隻出ることになっているが、人数が揃い次第出航する。
僕らも9時50分頃には搭乗となった。地ビールの瓶を買って乗り込む。
屋根のついた小さな船。20名も乗ればいっぱいだろうか。
1列4人ずつ詰めて座る。夏だからか屋根がついている。
船頭さんは3人。60過ぎぐらいのベテランの方と
20代前半、後半ぐらいの若手が1人ずつ。
雨が降らず水位が低くてバランスが取りにくいということで
何度か左に詰めるように言われる。
エンジンのついてない船ならば法令では不要みたいなんだけど、
天竜川での事故もあって、お上のお達しにより救命胴衣を着用する。
では、川下り開始。
まずはベテランの方が僕ら乗客と向かい合って櫂を引く。
若者が先頭で竿を指し、もう1人の若者が後方で舵を操る。
それぞれの役割が1人ずつで、30分で交替する。
ボートのように櫂で漕ぐんだけど、
90分近い川下りの間ほとんどずっと漕いでいた。
流れに任せてただ下っていくんじゃないんですね。
竿は川底に差して軸として
船の舳先から客席近くまでの数メートルを蹴りあげて船を前に進ませる。
走り高跳びを連続で何百本も打ち込む感じ。
これは若いうちでないとできない。
ときどき突き出た岩に竿を差して方向を変えることもする。
江戸時代に始まって400年の歴史。
代々竿を受けることで窪みが作られた岩もあった。
船頭さんの話が面白くて
川下りの魅力の半分はそこにあるんじゃないかと思えるほど。
ベタで毎日毎日同じこと言ってるんだろうなあ、
でもそれが独特の話芸となっている。
最初の方はこの川下りの説明となる。
全長16キロの行程。140人の船頭がいて、80隻の船があって、
船頭の組合があるだけで会社として社長がいるわけではなく
もらえる給料も皆一緒。
一人前になるのには10年は必要とされて、募集は30歳まで。
定年は75歳。などなど。
年末年始の7日間とメンテナンスで2月のどこか1日休む以外は無休。
毎日毎日来る日も来る日も船を漕ぐ。
もしかしたら繁忙期は1日に何往復かするのだろうか?
昔は嵐山まで到着した船を4時間半掛けて上流まで曳いていたとのこと。
(そのための小道や、ロープを引いた跡が岩に残っていた)
今はもちろんそんなことはせず、船はトラックで戻され、
船頭さんたちはJRに乗って戻ってくるのだという。
田んぼの中を進み、明智光秀の住んでいた亀山城跡を通り過ぎ、
急流へと分け入っていく。
ところどころ狭い岩の間を突き進み、水しぶきを浴びる。
5個の鉄橋をくぐりぬけ、
ライオンやプードル、オットセイに見立てた岩を眺める。
崖の上の線路を色鮮やかなトロッコ列車がすれ違う。
乗客たちはお互いに手を振り合う。
川のあちこちでラフティングの体験コース。
ゴムボートから突き落とされてキャッキャと喚声を上げる若者たち。
(体験コースばかりで実際に川を下っているのは見なかった)
砂地に鹿の足跡があって、川縁に水を飲みに来るのだという。
猿もいる。猪もいるはずだけど夜行性で昼間眠っているので
この川下りの船で出会うことはない。
アオサギとカササギ。
蝉の音が聞こえる。真夏の日差し。川のせせらぎと吹きぬける風。
春は桜が、秋は紅葉が、そして冬はストーブを用意して雪の間を。
オールシーズン楽しめるようだ。
昨日は8月の最終日曜日でなんと61隻も出たとのこと。
これから少し減って、紅葉と修学旅行の季節にまた増えることになる。
急流をぬけて嵐山の近くまで来ると
屋形船のような小さな船が見えてくる。
何だろうと思っているうちに横付けされて、
コーラやビール、おでんやいか焼き、団子に蕨餅など売っていた。
いか焼きを見たらいてもたってもいられなくなって
最初に地ビールを飲んだのにもう1本缶ビールを。
いか焼き、うまかった。
そんなこんなで90分の川下りがあっという間に終わる。
船を下りて岸辺を歩く。
日差しがとてつもなく暑い。今日がこれまでで最も暑い日かもしれない。
広い川面の光が涼しくもあり、暑くもあり。
通りは高級な料亭が建ち並ぶ。
嵐山って、えーそういう場所なのかと思いきや
交差点に出て繁華街に入ると俗っぽい観光地となっていて
うどん・そばの店、豆腐・ゆばの店、お土産物屋など。
「美空ひばり座」なる施設があった。京都と関係があったのだろうか?
シアターがいくつかあったけど果たして客の入りは。
オルゴール博物館なんてのもあったな。
街ゆく人たちは女性2人連れや若いカップルばかり。
彼女たちを乗せた人力車があちこちを走っている。
フレンチの店に入ってビーフシチューを食べる。
ビールを飲みながらあれこれ話す。
友人がボランティアで被災地に行ったときのことなど。
食べ終えてまた通りを引き返すと天龍寺が世界遺産であると。
庭園があってそこがよいのだろうかと遠くのほうまで歩いてみるが、
あまりの暑さに断念。引き返す。
渡月橋を渡って中之島公園を少し歩いたのちに
嵯峨嵐山駅からJRに乗って京都駅まで戻ってくる。
川で下った分距離は短くなっていて、10分ちょっと。
駅の3階のカフェでお茶を飲んで友人と別れる。
会社へのお土産を買い、
新幹線の中で食べる551の焼売・海老焼売・餃子の3点セット、
そしてもう一軒気になった店で鳥餃子と鳥塩唐揚。
帰りの新幹線ではジョン・ライドンの自伝を読みながら
ずっとビールを飲み続けた。
荻窪まで戻ってきて、東京が涼しいことに驚く。