共通地盤を介した物語分析とでも呼ぶべきもの

宇宙ステーションに住んだら、四季はなく、
毎日同じ時刻に朝が来て夜が来るんだったか。
雨の降る時間帯も固定。
その設定ってSF作品ごとに違うのか。
人体というか精神に与える計り知れない影響のことを考える。
特にずっとそこで生まれ育って他を知らない場合。
感性というものは育つのか。
ここでハッと思う。日本を中心にして考えてはいけない。


話変わって、そういう特異な状況下における事件を解く
推理小説を読みたいかといえば、まずならない。犯人は
「四季がなく朝晩がいつも同じ時刻となる、
 地球上とは異なる状況下に育ったがゆえに…」
というのが理由だとしたら、「えー??」となる。
なんというか、共通の地盤を共有している前提で
それをどうひねるかというのを読みたいわけですね。


あってもいいけど「本格ミステリ」とは決して呼ばれない。
それはストイックなほど地味なものがよい。
そこからいかに論理を緻密に組み立てて飛躍させるかを読みたいわけで、
設定の飛躍なんて簡単だ。


一見とっぴな設定の作品というのは、その共通地盤の提示の仕方が上手い。
日常生活のディテールはほぼ同じなのにこの一点だけが異なるというような。
あるいは逆に、日常生活のディテールはほぼ耳慣れないものなのに、
男女は愛し合うものなのだという一点だけは譲れなかったり。
言語学的な実験をひたすら繰り広げる作品が、
内容そのものは普遍的な物語構造に依拠していたり。


そこのところを読み解くような文芸批評もあるのか。
詳しくないのであるともないともいえないけど。
モデル構造でいくつか分類できそうですね。