秋というもの

秋って季節がよく分からない。
東京にすんでいるとなおさらそうだ。
いつのまにか夏が終わっていて、いつのまにか冬になっている。
その間のどこかの何かを指している。
その始まりと終わり、どこからどこまでなのかが分からない。
都会に住んでいて、今具体的にこういう状態を秋というのだ
って言える人、いますか?


春は分かりやすい。温かくなって桜が咲いて。
雪国ならば降り積もっていた雪も解ける。
ダウンジャケットを脱ぐ。そのうちにセーターも着なくなる。
ネルシャツだけになって、それもやがて梅雨入りの頃にはTシャツ1枚へ。
3ヶ月ぐらいのゆるやかな移行期間が続く。
冬から夏への間は分かりやすい。気が付きやすい。
なのに夏から冬への変化がこれと言って感じられないまま
いつのまにか過ぎ去ってしまうのはなぜなのだろう?
それって僕だけなのか?


食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋。
なんて言っても特別なものは何もないしね。


というかもしかして秋というものが年々、短くなっていないか?
暑さから寒さという坂道を転げ落ちるかのようになってないか?
夏と冬がこれまでよりも長くなってないか?
どうなんだろう。僕の小さい頃、
秋という季節は秋としての存在感をもっとはっきりもっていたように思う。
色彩を失っていく植物たち、過ぎ行く風の質感。
それは青森と東京の差となるのか。


ついこの間までTシャツにサンダルだったのに、
もうちょっとしたらコートかダウンジャケットだな。
季節はもはや、気温により表わされるものでしかない。