夜の散歩再び

本気で考えなきゃいけないことが出てきて、最近また歩き出した。
PCに向かってキーを打つだけでは何も出てこない。
歩きながらしばらくの間、頭の中を空っぽにして
何かがモヤモヤと浮かんできてどこか別の何かとつながるのを待つ。
諦めかけたところにギリギリになって、スッと見えてくる。
歩くリズムと思考のリズムが噛み合ってアイデアが引き出される。
いつも、不思議に思う。
ただ待ってても出てこない。歩いている間は、しんどい。


昨日の夜は会社から帰って来るとすぐ着替えて出て行った。
環八沿いを南に下っていく。
iPhone で音楽を聴く。秋の夜長はスローコアがいい。
Pedro the Lion とか。Red House Painters とか。
日本だとペトロールズ辺りもそうかな。
学生時代からずっと聞いてなくて10数年ぶりに聞いた
Red House Painters が最近すごくしっくり来る。
地味で起伏のない静かな音楽と思っていたのが、そのまま、いい。


この日は Matthew Sweet の『Girlfriend』も聞いた。
同じく最近10数年ぶりに引っ張り出して聞いたもの。
2枚組のデラックス・エディションで2枚目が『Goodfriend』という
当時プロモ・オンリーで配布されたミニアルバム。
デモやライブ、ニール・ヤングの「Cortez the Killer」などが入っていて、
1曲目の名曲「Divine Intervention」のアコギ弾き語りが瑞々しくて素晴らしい。
もちろん、1枚目の本編もいい。それまでの音楽的遺産が溶け込んだ、
90年代アメリカ最良のギター・ポップがここに鳴っているように思う。
それよりも何もジャケットですよね。ロック史上最高に美しい1枚。
http://www.resounders.com/matthew-sweet-girlfriend/


駅から歩いてくる人。駅へと向かう人。
「味噌一」がなくなって別のラーメン屋になっていることに気づく。
その隣も違う店だったように思う。どうだったか。散歩の記憶はあてにならない。
フリークライミングのジムはいつ通りがかっても賑わっている。
カラフルな石の埋め込まれた斜面を多くの老若男女が取り囲んで
指差しながらあれこれ言い合っている。
黙々と次の石に手を伸ばし足場を確保する人もいる。
キックボクシングのジムもまた変わらず人気があるようだ。
狭い室内で何組もの男女が組み合っている。
猛禽類が襲い掛かるように。熱気が篭っている。


帰り、北口に出る。
「鳥もと」は移転してからあまり客が入ってないように思う。
向かいの「串カツ 田中」は繁盛している。月曜なのにほぼ満席。
こんな店あったっけ? 気になる。


家に帰りつく前、最後の1曲何を聞くかというのが大事だったりする。
歩きながら何にしようかと考える。
iPhone を操作してその曲が流れるのを聞いたとき、
なんというか、ほんの少し勇気のようなものが沸いてくる。