『太陽に灼かれて』

昨日、仕事の合間の息抜きに DiskUnion に行ったら
サントラのコーナーに『太陽に灼かれて』があった。
国内盤帯付きで \1,200! amazon では \5,000 ぐらいするのに。
これはお得だとオフィスに財布を取りに戻った。


ニキータ・ミハルコフ監督の1994年の作品。
カンヌで評価され、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。
1930年代。主人公はかつての恋人の住む田舎を訪問する。
恋人はふたりの間を引き裂いた老大佐と結婚し、小さな娘がいた。
少人数のドラマのようでいて、スターリン時代が暗い影を落とす。


公開されたその年のうちにロシア語の授業でビデオを鑑賞した。
毎回10分ぐらいずつか。朝一のコマだったけど毎回欠かさず出席した。


ニキータ・ミハルコフ監督自身が老大佐役で出演し、
登場する幼い娘は実子。その存在感もさることながら
一番印象に残ったのは冒頭で流れる「疲れた太陽」というタンゴ。
http://www.youtube.com/watch?v=VZBEAI4_tBQ


その後ずっと、今に至るまで耳から離れずにいた。
もう一度聞きたいと「アルゼンチン・タンゴ名曲集」のような
アルバムを見かける度に曲目を眺めるが、見つからない。
有名な曲ではないのか。
サントラを買って謎が解けた。この曲はロシア・タンゴなんですね。
日本でも戦後タンゴのモチーフの歌謡曲が流行ったような、そういうもんか。
例えば、高峰三枝子の一連の曲。「別れのタンゴ」とか。
http://www.youtube.com/watch?v=l-VJAN_t3IA
(でも今聞くと、タンゴでもなんでもない)


もうひとつ知ったのは、その他の曲を担当したのが
エドゥアルド・アルテミエフだったということ。
ソ連時代のアンドレイ・タルコフスキー監督の音楽を手掛けている。
惑星ソラリス』で流れる、見知らぬ惑星の洞窟を吹きぬける風のような
バッハのコラールが忘れられない。
電子音楽・前衛音楽から始まった音づくりは
イメージ先行型のタルコフスキー監督の映像にぴったり息を合わせていたけど、
ニキータ・ミハルコフ監督の作品ともなると
もっと端正でクラシカルなスコアになるんですね。
(それでもやはり現代音楽的な不協和音の要素は随所に出てくる)


メインタイトルの曲が、美しい。
http://www.youtube.com/watch?v=NVUD8atH-K4