ウォーキングラリー

先日、何がきっかけだったか
毎日新聞夕刊「キャンパる」の記事をネット上に見かけた。
『「第1回東京ナイトウォーク」に同行 留学生らと深まった親睦』
http://mainichi.jp/feature/news/20130531dde012070009000c.html


一橋寮の新入生歓迎イベントのうちのひとつ、
「ウォーキングラリー」が留学生向けに夜の東京を歩くというものへと
装いを変えて生まれかわったのだという。


そういえば何年か前に小平キャンパスをふらりと訪れたら
外国人留学生向けのこぎれいな宿舎のようなものが建っていた。
それが確か何棟も。やさぐれた学生の吹き溜まり、一橋寮は
建物の骨格だけを残して消えてしまっていた。時代は変わる。
というか「ウォーキングラリー」が今も続いていたことの方が驚き。


もちろん僕も走った、というか100%歩いた。
寮のブロックの皆でゾロゾロと
西武国分寺線、中央線と乗り換えてどこかで地下鉄に。
竹橋の如水会館へと終電の時間に到着して退路を立たれると、
午前1時ぐらいだったかにスタート。50km先の小平を目指す。
ルートはよく覚えていない。青山墓地を通ったことだけ記憶にある。
調布と府中と三鷹の辺りをウネウネと歩いたかもしれない。
直線距離で東から西へと向かうのではなく、
けっこう南北にジグザグだったように思う。


いくつかチェックポイントがあって、寮委員が待っている。
何人か足に自信のあった者は本気で走って
4時間ぐらいで着いたんだったか。
何人かは「ショートカット」と称して自転車を盗んだ。
(時効だと思うから書く)


僕は北2Aブロックの中でもやる気のないグループにて
ウダウダと喋りながら歩いて、そのうちにはぐれて
どこか別のブロックの何人かと一緒になって後半を歩いたように思う。
50km歩くというのはかなり大変なもので、
途中フラフラとひとり歩きながら
その当時好きだった女の子のことだけがひたすら頭の中にあった。
ゴールで待っていてくれないかな、とか。
そんなことあるわけないけど。
18歳の上京してきたばかりの少年の考えることってその程度のもんだ。
到着したのは10時か11時過ぎ。順位は下から数えたらすぐ、って感じで。
この日は特別に朝風呂が沸かされていて、
それに入ってベッドに戻ると泥のように眠った。


3.11の日もこれに似たルートだったんだよな、ということをふと思い出す。
距離にしては半分以下だったけど。


というかその後の僕の人生が
この日のダラダラ歩き続けたウォーキングラリーのように思う。