インストール

今日のネタ帖より。
人類の「意識」というもの実際のところどこにどう存在するのか解明されていない。
脳の中にありそうだ、神経線維の間にありそうだ、というだけ。


「意識」は実は身体を持たない地球外生物なのかもしれない。
それが動物的な本能しか本来持たない人類の肉体を乗っ取っている。
「意識体生物」がインストールされる。
その肉体にとっての「意識」となり、リセットされる。
外界の環境を学習し成長する。
一人の人間の中に複数が共存する場合は多重人格として現れる。


肉体の死に伴い「意識」はその肉体から離れる。
また別の憑依の対象を求める。
うまくいけばまた別の肉体と巡り合う。
それが生まれ変わりというもの。


「意識」は何億年もの昔、
はるかに文明の進む果てに肉体を不要とした種族だった。
宇宙空間を群生して旅を続けるうちに地球を発見した。
人類はまだ猿の段階だった。
飛来した「意識」はいくつかの集団に分かれ、めぼしい群れの中に入り込んだ。
言葉を使うことと道具を使うことをまずは教えた。
特定の肉体に依存せず、独立した「意識」のままであることを選んだ者たちは
やがて「神」と呼ばれることになった。


そのようなローカライズは全宇宙のあちこちで行われている。
生き物たちは同じような「意識」をもって動かされている。
いつかそれら生き物たちが宇宙の果てで出会う。
ローカライズされたそれぞれが主張を持ち、平和な共存は難しい。
生存競争は全面戦争となりどちらかが滅ぼされる。
そのとき負けたほうの「意識」たちは一斉に死滅した肉体から離れ、
また次の宿り主の住む惑星を探し、何十万年と宇宙空間を漂い続ける。