「Frozen Beach」断片

先日同様、「Frozen Beach」からカットした部分。
一応一通り完成して、今、ブラッシュアップ中。

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亡霊たちは僕のことを見ているのか。ずっと、ずっと。
人間に限らず、様々な動物と昆虫たちの亡霊が。
もし仮に生まれ変わりというものがあって
それで数を調整していたのなら、今はもう受け口がない。
飽和状態にあるだろう。
僕が死んだら、そこに加わる。天国なんてものは、ないんだろうな。
広がっているのはこの世界か、それとも虚無か。…虚無なんだろうな。
何度このことを考えたろう。
自分という存在が消滅して、
そこから先、何億年経とうがこの世界というか宇宙は続いている。
その途方もなさを考えてみたとき、なんだか怖くなる。
そこに終わりはあるのだろうか。
宇宙はある時点から収縮して、
ブラックホールかなんかに飲み込まれてしまうのだろうか。
ビッグバンの前の状態に戻っていく。
小さな頃、宇宙の外には何があるのだろうかとよく考えた。
リョウジは他の宇宙が無数にくっつきあってると言ってたし、
ダイスケは何も無いと言っていた。


宇宙、銀河系、太陽系、地球。
この尺度で考えたら地球なんてちっぽけなものだ。
そしてその地球も今、人類とか文明とかがほぼ百パーセント死に絶えたけど、
宇宙の規模で考えたらそんなのたいしたことじゃない。
どっか別の星系にはどっか別の太陽系みたいなのがあって、
そこには別の生命体というか人類に当たるものがいて、
地球人には想像もつかないような文明を発展させているのだろう。
そしていつの日か宇宙を旅するようになって、
かすかに電波の残骸を発する地球に引き寄せられて、
凍りついた何もかもを目にすることになるだろう。
彼らはそのとき、何を見て、何を考えるだろうか。どんな結論に達するだろうか。
かつてここには生命が存在していた、今はもう無い。
ただそれだけのことだろうか。
彼らは、興味を持ってくれるだろうか。
彼らが宇宙船から外に出てこの地上で何日か暮らしていた中で死んでしまったとき、
その亡霊は僕らの亡霊と交じり合うのだろうか。
それとも彼らの星に霊魂が戻って、そちらで亡霊となるのか。
いや、そもそも亡霊という仕組みを思いつかなかったがゆえに
亡霊となることはないとか、あるいは死なないとか。
なんで人類は、死ぬことになっているのだろう?