寝台特急というもの

先日、東京に戻ってくる日に新青森駅で「トレインマーク」なるものを見つける。
「あけぼの」「ゆうづる」「はくつる
上野‐青森間を運行していた寝台特急のロゴをカードにしたもの。
僕は特に鉄道ファンではないけど、寝台特急のことは懐かしく、
思わず「ゆうづる」の大きいサイズのを買ってしまった。
次の日職場で机の上に飾った。
「トレインマーク」についてはマニアの人たちがあちこちサイトを立てている。例えば
http://nihonkai.exp.jp/hm/


青森−上野間を走っていて、子供の頃上京するとなると必ずこれらの寝台特急だった。
秋田−弘前経由の「あけぼの」は乗ったことがない。
今月15日が最後だったみたいですね。残念です。


2段ベッドや3段ベッドというのが旅情を誘う。
ハシゴを上って仕切りをくぐるとゴワゴワした簡素な枕と毛布があるだけ。
天井は低く、寝そべっていた上半身をようやく起こせるかどうか。
ガタゴトと走り出して一晩中揺られていく。
細長い楕円形の窓がわずかばかり開けられていて、
カバーをスライドさせると月明かりや街の明かりに照らされた
線路沿いの家並みが続く。
まだ小さな僕は興奮して眠れそうにない。
しかしいつのまにか目を覚ますと朝になっている。
落とされた照明がまた付くんだったか、車内放送が入るんだったか。
今ならポケットウィスキーを飲みながら文庫で小説を読むだろう。
最後に乗ったのは大学受験の帰り。
その後はもっと安いからと夜行バスを利用するようになった。


食堂車で朝、食事を取るというのも楽しかった。
「移動するレストラン」というコンセプトが子供心にどれだけ響いたことか。
ちょっとした洋定食が1,000円台半ばぐらいしたので
食べることのできたのは何回かしかなかったけど。


上野駅も当時はとてつもなく大きかったように感じられた。
遠く向こうの故郷への入り口として、地続きになって、
独特の裏侘しい風情が漂っていた。


最後にまた乗りたかった。
トワイライトエクスプレス」や「北斗星」といった豪華な寝台特急もいいけど、
ゆうづる」や「はくつる」の3等の雰囲気がたまらない。
それがまだ味わえるのは「サンライズ出雲」や「サンライズ瀬戸」ぐらいか。
今年の休みでちょっと乗ってみるか、という気分。
http://www.jr-odekake.net/train/sunriseseto_izumo/


トワイライトエクスプレス」も「北斗星」も来年度には廃止みたいですね。
時代の流れにそぐわなくなったと言えばそれまでだけど、なんだか寂しい。