常連の店

先週の土曜は妻が学生時代にアルバイトしていた小料理屋へ。
小平市一橋学園駅東側にあった。
僕らの大学の寮は駅の反対側にあって
自衛隊警察大学校のあるこの辺りは住んでいた2年間のうち
1度か2度しか来たことがないだろう。


カウンターと小上がりと奥の座敷という小さな店だった。
食べログには載っていない。
ほぼ常連客の店。それが何十年と通う。
妻が働いていたのは20年近く前。
その頃からの常連さんが普通に店で飲んでいて、普通に声をかけてきた。
バイトを辞めたのがついこの間であるかのように。
マスターもビールを持ってこさせたり、いつものように働かせていた。


18時に国分寺でバイト時代の先輩と待ち合わせて、18時半に店に到着。
帰るときには渋谷で田園都市線の終電を逃していたのだからかなり飲んだのだろう。
新宿駅で山手線に乗ろうとしてホームと車両の間に足を落とすぐらい、
 妻は酔っぱらっていた)
その間入れ代わり立ち代わりお客さんが訪れ、
その中にはちょっと顔を出してお土産を渡すだけの人がいたりした。
僕らは彼ら常連さんから日本酒やビールをおごってもらった。
忘れ物を取りに来た妻が日曜の夜に再度訪れたときも
やはり彼ら常連さんがカウンターに陣取っていたという。


その常連さんの中でも主のような方がいて、
その娘さんが遅くなって店に飲みに来た。
まだ20代の前半。
まあその、結構若いうちからお父さんに連れられてきてたんじゃないかと思う。
聞くと一人で来ることも最近は多いのだという。
いいなあと思う。
父と娘が通う店。親子二代で通う店。
これこそ地域に根差した、いい店の証拠。


僕は隣に居合わせた常連の方から出身地を聞かれ、青森だと答えると
出張で何度か訪れたことがあるとその後しばらく青森の話になった。
横浜町の菜の花畑のことであるとか、その近くにうまい豆腐屋があるとか。
名前を聞かれるでもなく、名刺を交換するでもなく。
隣の方はゆっくり飲んでいた焼酎を飲み終えると、ふらっと帰っていた。
また明日も来れば、そこから話の続きが再開されるかのように。
だけどそれを期待していない。
ただそういう時間があったというだけ。何も残さない。
だからこそ、常連客が毎日のように通うのだと思う。