数年ぶりに短期間の大型案件に関わることになり、このところ帰りが遅い。
神保町から三田線に乗って、大岡山で大井町線に乗り換える。
ここ数日何度か先頭車両に乗って、空きがあると運転席の後ろに立った。
頭を空っぽにして電車が線路を行く風景を眺める。
真夜中、世田谷の奥深い住宅地。
駅前を過ぎると明かりの消えている家も多い。
その真っ暗な中を進んでいく。
車両前方のライトが辺りをぼんやりと照らす。
まっすぐにすっと伸びた線路を何の迷いもなく(電車だから当たり前か)
進んでいくのをうらやましく思う。
各駅停車だと1分少々走って次の停車駅に停まる。
吊り革につかまっていた人たちがちらほらと下りて、
ホームに立っていたわずかばかりの人たちが遠慮がちに乗り込んでくる。
次の次は僕の下りる駅だ。
何か考えるとしても、思い浮かぶとしても、それぐらい。
自由が丘駅の次、九品仏駅はなぜか先頭車両がホームからはみ出てしまう。
ドアが開かない。古くて小さな駅だから、
乗客数の拡大に伴う連結する車両の増加に対応し切れなかったか。
夏の日曜に初めてこの駅を見かけたとき、昭和の匂いを感じた。
駅舎を取り囲む草がムンムンとしていた。
自由が丘駅から見て反対方面、緑が丘駅とその次の大岡山駅との間は
歩いても5分かからないだろうか。すぐ着いてしまう。
その間東工大のキャンパスの中を通過する。
広々とした空間がきれいに整備されていてそこだけ風景が違う。
住宅地の中にポッカリと空いたエアポケットのような。
こちらは現代的だ。
駅を境目にして風景が変わることに気づくとき、
電車に乗ることを楽しく感じるようになる。
例えそれが朝の通勤時だったとしても。
荻窪に住んでいたときは地下鉄の丸の内線だったからそんなこと考えもしなかった。
単なる移動手段に過ぎず、そのシンプルさが心地よかった。
そういえば神保町と二子玉川を結ぶルートはふたつ存在する。
上記の僕が利用するのか、田園都市線の直通か。
普通の人は乗り換えなしなので後者を選ぶ。
だけど朝6時半に駅に着いても座れない。
だから僕は遠回りになっても、割高になっても、前者の通勤定期を作った。
だけど帰りは渋谷に寄って行きたかったり、夜遅いと田園都市線も空いていたり。
どっちも東急線なんだけどな。
今から+1万で両方のルートが利用できる通勤定期が作れたら絶対利用するなぁ。
そういう仕組みは難しいか。