絵本と出会う

昨晩は塚田さんの「温室」にてイベント「TERRAIN VAGUE」の4回目。
(フランス後で都市の中の「空き地」を指す)
http://terrainvague2015.blogspot.jp/2015/07/terrain-vague-vol4.html


今回のテーマは「絵本」
参加者は各自持ち寄ることになっていたけど、
僕はこれというものが家になく、手ぶらで。


周辺も含めて、こういった本が挙げられた。メモったところでは
『book of bunny suicides』
『ミッケ』のシリーズ
『猫の事務所』宮澤賢治
『かちかち山』おざわとしお
『ぶたのたね』佐々木マキ
『ぼくのねこみなかった?』エリック・カール
ゴリアテ』トム・ゴールド
『猫と悪魔』ジェームズ・ジョイス丸谷才一訳)
『みどりの船』クェンティン・ブレイク
『ビリービンとロシア絵本の黄金時代』
『幻のロシアの絵本 1920−30年代』
『うさぎのいえ』(ロシアの民話)
『金の魚』『金の鶏』プーシキン
かいじゅうたちのいるところモーリス・センダック
『ズーム』イシュトバン・バンニャイ
『輪切り図鑑 大帆船』


他人のフンドシで相撲を取ろうと
僕は『かいじゅうたちのいるところ』を紹介。
スパイク・ジョーンズ監督の映画化が素晴らしいと。
小説を映画化すると失敗することが多いのは
テキストを読むのに半日や数日かかるというとき、それを2時間にすると
あれがはしょられた、あれが上手く描けてないという不満もひとつにはあると思う。
絵本を映画化すると面白いものに仕上がるのは、時間の構造が逆で
3分もかからず読める絵本を2時間にするイマジネーションが働くから。
(想像しながら読む子どもたちは2時間、あるいはもっとそれ以上かけて読むか)


もうひとつ、その場で読んで「これはいい」と思ったのが『ズーム』
1ページごとにズームアウトしていく。
何かよくわからないものが映っていたのが次のページでは鶏のとさかで、
それが家の中で、覗き込んでいる男の子と女の子がいて、
それが全て実は模型で、というのが雑誌の中の1ページで…
といった具合。
入れ子構造になっていて、夢から醒めるとまた夢というような。


皆が紹介した本が座っていると隣から少しずつ回ってくる。
『みどりの船』が一番よかったかな。
想像力の広がり、設定とストーリーの絡み具合の巧みさから生まれる
アナザーワールドのワクワク感。絵もいい。


帰り道、思いだしてみる。
小さい頃、そんなに絵本を読んだ記憶がない。
すぐ童話に入っていったような。
ブレーメンの音楽隊」とか。
絵本は絵のタッチは覚えていてもタイトルやストーリーがどうにも。


一冊どうしても忘れられずトラウマになったのが
『くいしんぼうのあおむしくん』槇ひろし・前川欣三
エリック・カールの『はらぺこあおむし』ではないことに注意)
エコロジーの思想でもあり、虚無的な終末観もあり。
数年前にふとしたことで読み返して、
やはりこの存在感はただものではないと感じ入った。
身近な子どもに読ませたいかというと悩ましい。
しかし、これぞ、という子にはそっと手渡したい。
そういう絵本。