入院に当たって事前検査 前篇

入院の前の諸々の検査で有休を取って病院へ。
8時半起き。自由が丘から副都心線に乗る。
予定では10時から血液検査で、ギリギリ間に合う。


地下の採血室にいきなり驚く。
L字型にカウンターが並んでいて、そこにずらっと看護師と患者が並んで採血している。
数えてみたら15人同時に可能。さすが。大病院ってそういうことか。
(後で妻に見せたら、「ローンを相談するカウンターみたい」と言われた)


採尿、レントゲン、心電図の次に肺活量。
女性の先生が受け持つのだが、なんというか、演劇的。
「はいー岡村さーん!! 最初とは思えないうまさですねー!!」
「吸ってー、吐いて−、素晴らしいリズム感覚!!」
「はいはいはい! もっと! もっと! もっと!! 限界まで息を吸ってー!!」
ひとつひとつのリアクションが大げさで、褒めまくり乗せまくり。
「前畑ガンバレ! 前畑ガンバレ!!」を思い出す。
それでいて「素晴らしい、素晴らしい、でもあともう一回」となったり。どっちやねん。
この話を妻にしたところ、自分が手術で入院したときも女性の先生が大げさだったという。
全然別のところにある別の病院。
たまたまなのか。それともそれぞれの師匠筋が同じ人なのか。
あるいは肺活量の先生は皆全国こんな感じで
大げさに褒めるべしという指導要領があるのか。


麻酔科へ。手術で麻酔を受けるにあたっての注意事項を聞く。
最初にPC上のデータを見て「とても健康ですね」と言われる。なんだか変な感じ。
待っている間に注意事項の書かれた冊子を読んでいたので
概要があらまし入った状態で説明を聞いた。
手術の前日は夕食の後、何も食べないようにする。
麻酔が効いていると胃の中のものを戻して窒息してしまうため。
手術は全身麻酔となる。このとき、合わせて背中に硬膜外麻酔というのを行う。
髪の毛ほどの太さの針を刺してカテーテルを通す。
全身麻酔が切れた後の手術後の痛みを和らげるため、
カテーテルを通して痛み止めを注入する。
これは痛みがなくなるまで、手術後数日続くことになる。


麻酔科が終わって、一度待合室に戻る。
手術の説明に立ち会う妻が駅に着いたというので迎えに行く。
商店街を途中まで来たところで向こうから歩いてくるのが見えた。


12時半、予定通りに手術の説明が始まる。
まずは妻のために先週僕が受けた診断結果をもう一度かいつまむ。
MRI で撮影した断面図を元に、腎臓の腫瘍について淡々と。


・今の大きさは 3cm 程度で、分類でいえば「1a」という最小。
 リンパ節や他臓器の転移はなしと思われる(このあとのCTスキャンで判断)。
 がんのステージは「1」


・化学療法や放射線治療は効果なし。
 内視鏡を用いた手術は今回、腫瘍が背骨の近くであるため困難。
 ロボットを使えば行えなくもないが保険適用外。よって開腹となる。


・今の大きさならば部分切除で問題ない。
 全摘出も部分切除もその後のがんの再発率は変わらない。
 全摘出は心臓の負担が大きくなり、心不全(だったかな)の可能性が高まる。


・腫瘍が悪性(=がん)かどうかはまだわからないが、その可能性が高い。
 病理の診断には時間がかかるため、退院後の経過診察のときに報告する。
 良性だった場合であってもその後大きくなって 4cm を超えると
 出血することがあるので、やはり取り除いた方がいい。


などなど。
妻も先日は全摘出の方がその後のことを考えると安全ではないかと言っていたけど
先生の説明を聞いて部分切除の方がよいと理解してくれた。