柳家小三治独演会

そうなんすよ、あっしね、昨晩小三治師匠の独演会に行ってきたんすよ。
うちのかみさんとね。板橋区の文化会館でさあ。
あっしは会社の帰りだったから三田線板橋区役所前まで行ったんすけど
東武東上線の大山の方が近いみたいっすね。
大山はあっしが学生時代に夜勤の調剤薬局のバイトを
4年ほど勤めさせていただいた場所なんでえらいなつかしい。
でもこの日はあのアーケードの商店街を歩いて回る時間はなかった。
さびしいもんですよ。


食当たりで腹の具合が悪いってのもありまして。
午前中でだいぶよくなりはして握り飯を食うところまでは回復したんですが
それで力を使い果たしてしまったみたいで、なんだかだるい。
熱があるのか、どこか寒気がする。
喉も痛くなく鼻水も出ないから風邪ではないんでしょうなと
朝昼晩と正露丸糖衣Aをガバガバ飲みました。


そんなわけですからねえ、前座のお弟子さん、柳家はん次の
「妻の旅行」これは桂三枝師匠の創作落語みたいですが、
途中からグーグー眠っちまって。
小三治師匠の一本目「錦の袈裟」もがまんできず。
仲入りがあって二本目「初天神」でよーやくちゃんと見ることができたわけで。
いやー、小三治師匠の蜜を塗ったお団子の食べっぷり見事でやんしたねえ。
凧を上げる仕草も今そこが原っぱで風を感じるかのよう。


そもそも小三治師匠がまくらでなんか一言言うだけで皆が爆笑だからいけねえや。
「高座のざぶとんがぁ、新しくてぇふわふわなんですよぉ」
ふかふかだと足がしびれやすいって話で。噺家でもそうだと言うんですね。
寄席では毎年元日にざぶとんを新しいものにするそうで。
それが十日前の今日から新しいから調子が狂っちゃう。


あとはねえ、財布を無くしたと思ったら家の便所にあったとか、
歯医者でしたばかりの詰め物が取れたとか、そんなんで。
例によってあのお方、とりとめもなくやいのやいの喋ってましたが、
盲人の方が路上に立ち止って白杖を地面から離して宙に上げたら
それは「私困ってます」のサインだから皆助けてあげてほしいと。
それがなんだか心ってやつにしみましたよ。


周りの大半がお年寄りばかりでしたな。
ジジイは無口だけどババアはゲラゲラ声上げて笑ってて。
年の瀬に皆でひとつの場所で笑い合うっていいもんでさ。
落語はもっともっと見てみないといけねえ。