旅番組というもの

家に帰ってきて食事を作ったり食べたりしている間は
最近テレビをつけていることが多い。
以前ならニュースをやってるところがないか探したけど、
今はもっぱら旅番組。
国内国外問わず。都会も田舎も問わず。
ローカル線がいいとか百名山だといいということもない。
芸能人がリポーター役として登場せず、
テレビカメラの主観映像となっているものならなおよい。
BSをつけるとたいがいどこかでやってる。


旅行に行きたい、世界を知りたいというのもあるけど、
それ以前に頭を使わずとも
どんどん風景が切り替わっていくというのが疲れた身体に心地よいのだと思う。
移動する、出会う、移動する、出会う、ただその繰り返し。
単調ながらも起伏がある。
日曜の夜、笑点サザエさんの間に世界遺産を見るのもそう。
この番組をぼけーっと眺めながら缶ビールを飲むのは至福のひと時となる。


その次に面白いと思うのは
日本人が海外の意外な国に行ったり生活しているのか、
外国人が日本に滞在して意外なことをしているのを見るというもの。
「YOUは何しに日本へ?」とか
「世界の村で発見! こんなところに日本人」とか「世界ナゼそこに?日本人」とか
「世界の果てまでイッテQ!」(ただし、宮川大輔が変な祭に出てるとき)とか。
これも日本を再発見したいわけではなく、
見知らぬ風景がそこに広がっているというただそれだけを見たいのだと思う。
そういう意味ではレポーターのいない「世界ナゼそこに?日本人」の方が面白い。


(だから、同じ旅番組でも30代から40代にかけてのプチセレブな女優が
 3人組とかでパリやマルセイユに出かけて高級レストランで食べて
 ブランドものの鞄にワイワイ言ってるような番組は見ない。
 ひがんでるわけではなくて、
 その芸能人の振る舞いが見る目的になってしまうからですね。
 えてしてそういうときの「異国」は
 書割のごとくルーチンワークとなってしまってるし。
 景色がきれいならどこでも成り立つ)


何年もしないうちに、バーチャル・リアリティの技術を使って
家の中にいながら世界中が旅できるようになるんだろうね。
最初の段階は事前に撮影された映像と音声を体験するだけのもの。
そこではある程度の自由をもって歩き回ることができるだろう。
次の段階はリアルタイムにその場の雰囲気を味わえるようになる。
地球の裏側で Google glass みたいなのを着用した人が五感で味わったことを
臨場感持って体験できるとか。
さらにその次は小型のドローンやペッパーみたいなのを操作して、
となるのではないか。


さらにさらにもっと先はタイムマシンか…
ドラえもんの秘密道具のうち
タイムマシンとタイムテレビとどちらが技術的に難しいだろう?
案外後者のような気がする。