入口と出口

先週から妻が職場に復帰して、僕も家事を分担することになった。
朝起きて洗濯機のスイッチを入れる(妻が干す)、帰ってきて畳む、
明日の弁当と夜ご飯をつくる、家中に掃除機をかける、
リビングのカーペットとソファーにコロコロをかける、などなど。
定時で帰ってきて19時に家に着く。
夕食を食べ終わって、食器を洗って片付けると22時になっている。
5時半に起きて7時に出社するために23時には寝る。
自分の時間がほとんどない。
一息つくと焼酎のロックを片手にテレビを見るだけ。


妻は毎日のように丸の内線が混雑していて大変だと LINE で送ってくる。
あと、仕事のことも。誰それが使えないと。
うんざりして、食後爆発してしまう。
ただでさえ時間がないのに、愚痴まで聞いてる暇はないと。
毎日毎日同じ愚痴の繰り返しでそんなの聞きたくないと。


半ばケンカになりつつ、妻を泣かせつつ、
それでも妻は話し合おうという。
何が問題なのか分析することになる。
家事が問題なのではない。
それは誰かがやらなければならないのだし、妻一人に押し付けるわけにはいかない。
毎日ソファーにコロコロをかける必要はないのではないかと最初僕は思っていたが、
みみたが寝そべって猫毛が大量に抜け落ちているし、油断するとダニがわく。
快適に過ごす空間を維持するのは大事なことだと妻は言う。
タオルを毎日洗うのもそういうことだと。納得する。


ここ半年仕事が大変だった。
夜遅くまで仕事して体力的にきつかったというよりも、理不尽なことが多くて精神的に疲れた。
システム切替を迎えて1カ月半、ようやく定時で帰れるようになったが、
精神的に疲れているのは変わらず。
原因となった何人かがそのまま同じ PJ にいるから。
ここから出て行きたいと思うが、そのあてはない。
そのために何かをしているわけでもない。
ただ惰性で日々を過ごしている。
仕事としてするべきことはほぼなくなって、無為に時間を過ごしている。
それはそれで疲れる。
他のまだ大変な人たちの仕事を巻き取る気もない。
できることの領域を広げたらここから抜けだせなくなるから。


新しいことを始めたら、と妻は言う。習い事をするとか。
そんな時間はない、と僕は即答する。
そこで、はっと気づく。そういうことなのか。
やりようによってはいくらでも時間はつくれるはずなのに、その気力がない。
新しいことを始める気力がない。
何もしたくない、というわけではない。
これまでの繰り返しで済むことなら特に困らない。
それは日々やれている。
言われたことをやる、というのもそうだ。
主体的に、積極的に、新しい局面を切り拓いていくというのが今、全くできない。
その理由として、時間がないと思い込んでいる。そのせいにしている。


ああ、これがうつ病の入り口なんだなと思う。
仕事のペースを落とせば立ち直っていくものなのか。
早いうちに病院に行った方がいいのか。
今回の PJ では同じぐらいの年で責任感の強い真面目な同僚が出社できなくなって離脱した。
今、長期で休んでいる。
このままいくと次は僕か。


5月の土日に出た分の振り替え休日も溜まっているということで
このところ水曜を休むことにしている。
今日も一日、ジョギングしたり近くのスーパーに行く以外は家でゆっくり過ごした。
ソファーに横になって本を読んでいるうちに昼寝。
何もする気になれず。
これがいつまで続くのか…