80年前のこの日、1938年10月30日、
オーソン・ウェルズ演出のラジオ番組『宇宙戦争』が放送された。
本物そっくりのニュースを流すなど
あまりの迫真さに現実のことと誤解した人がアメリカ全土に何十万人といたという。
火星人襲来。大型のタコみたいな火星人だったか。それが地球に攻めてくる。
そういえばこれはハロウィンのための特別番組だった。
80年後の日本では、ハロウィンは若者が暴徒と化すイベントとなった。
仮装していれば、仮面をつけていれば本来の自分とは違う自分であって、
何をしても許されるということなのか。
ネット社会で匿名のアカウントのもと、
偏見に満ちた攻撃的な発言を繰り返す人が増えたことと根っこは同じではないかと思う。
日常生活の中で押さえつけられている自分、その鬱憤を晴らす場所が必要という。
元々カーニバルという祝祭空間がそうなのだ、
そこでは日常の権力構造がひっくり返されるのだ、と
ミハイル・バフチンはラブレーを読み解いた際に語っていた。
最下層で虐げられていた道化師が仮装行列の中心にいておどけた戴冠を行う。
そのときにもひどい振る舞いはあったかもしれない、あっただろう、
しかしその場に対する礼節というものもまたあったのではないか。
今やハロウィン市場はバレンタインデー市場を追い越したのだという。
渋谷があんなことになるのならいっそのことやめるべきではないか。
軽トラを横転させてそのうえでいい気になって踊る若者たち、
それを煽っている若者たちのいかに醜悪なことか。
一部の数十人、数百人だけの問題なのかもしれないが、
これは氷山の一角のようにも思う。
そんな簡単にはやめられないし、代わりの何かが出てくるだけかもしれず、
現実的な話ではないが。
明日の渋谷はどうなるのだろう。警官が今まで以上に動員されるのか。
そんなイベントに何の意味があるのだろう。
元日の暴走族と一緒じゃないか。
その場にいたわけではなく、
ニュースで垣間見ただけの者があれこれ言うな、ということかもしれませんが。