コンピュータの歴史

訳あってコンピュータの歴史を調べて
エポックメイキングとなったものを挙げてみることになる。
日本寄りの視点ですが。


ここでいうコンピュータとは何であるか?
電子計算機とはどう違うのか?
スクリーンやOSがないとだめなのか?
僕が思うに、情報、特に数値をインプットすると
アルゴリズムに基づいて別の数字がアウトプットされるというもの。
それは必ずしも自動でなくてもよい。


1)そろばん
どこが起源なのか、中国なのかアラビアなのかは不明。
メソポタミア地方では5000年前にその原型となるものが利用されていたとのこと。
珠を動かすのは人間じゃないか、とも思うが、その動かし方に一定のルールがあって
機械的に計算が可能、可視化されるという意味ではコンピュータのルーツといえる。


2)パスカルの歯車式計算機「パスカリーヌ」
1642年、まだ10代だった数学者パスカルが世界初の機械式計算機(足し算のみ)として発明。
それゆえか、コンピュータ言語のひとつに「パスカル」ってのがありましたね。
50台製作したものの、10数台しか売れなかったとのこと。
1672年、数学者ライプニッツが改良して乗算・除算も可能とする。
なお、ライプニッツは二進数を採用、20世紀後半のコンピュータもみな二進数を基本としている。
後述のバベッジの階差機関や「ENIAC」は10進数だった。


3)バベッジの「階差機関・解析機関」
18世紀半ばから19世紀にかけて
産業革命に呼応するように計算機の研究開発がなされてきた中で、
1786年にJ・H・ミューラーが最初の階差機関のアイデアを提唱、
1822年、チャールズ・バベッジが具体化に向けての設計を行った。
産業社会の発展するスピードが計算のスピードを求めたんですね。
階差機関は歯車の列が並び、クランクを回すことで計算を行う。
蒸気の力で動き、対数や三角関数も計算することができた。
バベッジ自身は試作品の試行錯誤を続けたが完成させることはできず、
スウェーデンの実業家ペール・シュウツが1853年に実用化した。
しかし思ったより売れず、シュウツは破産した。
バベッジは構想をさらに発展させ、解析機関の設計をその死の間際まで続けた。
パンチカードを読みとる入力装置、演算結果を印刷する出力装置、
演算装置、記憶装置からなっていて、今日のコンピュータの構造に近く、
バベッジは「コンピュータの父」と呼ばれることになった。


4) 「チューリングマシン
イギリスの数学者アラン・チューリングが1936年の論文
「計算可能数についての決定問題への応用」で発表した仮想の計算機。
コンピュータの原型となった。無限に長いテープと
(パンチカードをイメージしてください、というか若い人はパンチカードを知らないか)
テープに記述されている指示記号を読みとって
コンピュータ内部の計算状態を変えるオートマトン(自動機械 ) から構成される。
コンピュータを動かすものはプログラムであるという方向性を示し、
のちにフォン・ノイマンはプログラム内蔵型コンピュータへとアイデアを発展させる。


5)「ENIAC
1946年に開発された世界初のコンピュータ。
ペンシルベニア大学のジョン・モークリーとジョン・エッカートにより設計・製造された。
米国陸軍の要請により、弾道計算を行うことを目的とされた。
それまで人手で7時間余りを要していたのが、ENIACは3秒で計算を行いうことができた。
17,468本の真空管、7,200個のダイオード、1,500個のリレー、70,000個の抵抗器、
10,000個のコンデンサ等で構成され、
入力はパンチカード方式、出力はカードまたはネオン表示だった。
計算にあたってのプログラミングはスイッチの切替えや機械的な配線で行い、その準備に手間がかかった。


6)シャープの電卓「CS-10A」
シャープの前身である早川電機が
1964年に初めて(当時の金額で)50万を切る価格で卓上電子計算機、いわゆる電卓を発表。
以後、カシオ、キャノン、ソニーらが競争に参入。
この頃の電卓はトランジスタを用いたものでその名の通り机ひとつ占有するほど大型だったが、
のちにICやLSIの実用化に伴い小型化・軽量化が進んでいく。


7)「Apple II
アップル社が1977年に発売した世界初のパーソナルコンピュータ。
つまり、企業向けではなく個人向けのコンピュータ。
創業者の一人スティーブ・ジョブズの卓越したヴィジョンの元、
アップル社はのちに「Macintosh」を発表。
コンピュータは単に計算を行う機械、仕事を効率よく行うための生産性が問われる機械ではなく、
ファッション性、デザイン性という別の次元の付加価値を提唱することとなった。


8)「Windows95
Microsoft社が1995年に発売したOS。全世界的にブームとなった。
その影響は大きく分けてふたつ。
スタートメニューやタスクバーなどパソコンのユーザーインタフェースの原型をつくったこと。
ブラウザのInternet Explorer が標準装備されるなど
一般のエンドユーザーにインターネットが広まるきっかけとなり、
第三次産業革命(インターネット革命)への起爆剤となったこと。
コンピュータとはハードウェアではなく、ソフトウェアであるという転換をもたらした。


9)「iPhone
アップル社が2007年に初代モデルを発表。いわゆるスマホを全世界に普及させ、
Android も含めて手のひらサイズのコンピュータを皆が持ち歩くようになった。
アップル社・スティーブ・ジョブズは単なる携帯電話をつくろうとしたのではなく、
ファッション性の高いデジタルオーディオプレーヤー「iPod」に
通話機能、インターネット接続機能を持たせるという発想の転換が成功の元となった。
液晶画面をタッチパネルとして利用することで
それまでの携帯電話が文字・数字入力のために配置していたボタンを不要とした。


10)スーパーコンピュータ「京」
文部科学省主導のもと、理化学研究所富士通が共同開発して2012年より運用開始。
開発中の2011年にはコンピュータの性能のランキングである「TOP500」にて世界一とされた。
「京」の名前は、浮動小数点数演算を1秒あたり1京回行う処理能力の高さに由来する。
10兆個の脳細胞を結合した神経回路のシミュレーションや
超高解像度での全地球の大気シミュレーションといったプロジェクトで利用された。
コンピュータの世界もスマホとスーパーコンピュータと二極化していく。
なお、そのロゴは書道家武田双雲によるもの。