歩け

ロッコをロバに引かせた荷車で1,000km以上歩いた、という若者の本を読んだ。
荷車にソーラーパネルを乗せて、5ちゃんねるに随時更新していったという。
田舎の村でも全然普通に携帯の電波が届くと。
もはや地上に残された秘境はごくわずかで、海の底ぐらいしかないんだろうなあ。
植村直已であるとか昔の冒険家は前人未到の地を歩むがゆえに
無事帰りつくまでは連絡が取れないものであった。
エベレストの麓の村からハガキを送るとか、あってもそれぐらい。
 
全世界がつながるってすごいことだなと今更にして思う。
しかし僕らは世界中の人々とつながっているという実感はない。
インフラが整備されるということとそれを利用できるということは全く別の話であって。
制度的なこととか、経済的なこととか。
可能性だけがあるのみ。それを活かせるかどうかはその人次第。
それはいつの世も変わらない。
 
ネットでつながってるとはいえ、
実際に見て、歩いて、話してみる体験に勝るものは無い、というのも変わらない。
行きたい場所があるから歩いて行く。どこまでも。ひたすら。
それはとても簡単なことだ。そしてその簡単なことが何よりも難しい。
ネットで検索して終わりにしたくなってしまう。
 
大事なのは、ネットに全ての情報が集まっているのではないのだということ。
ネットに拾いきれない情報の方がはるかに多い。
そしてそのほとんどがどうでもいい、塵芥のようなものだ。
しかしほんのわずか、ネットに現れない重要な情報がある。
それを見極めるには、ネットの中にいても無理だ。
 
もっともっと見て聞いて歩かないとな。
簡単なことのはずなのにできないのは、なぜなんだろう。