梅雨の一日。空は暗く、小雨が降ったり止んだりはっきりしない。
夕方、妻と外出。
知人が毎年この時期、神楽坂のレンタルスペースを借りて浴衣の展示販売を行っている。
故郷で店を出しているが、年に一度東京で、という。
知人の方とは何度かお会いしたことがある。
反物のまま売られていて、購入した際は寸法を測って浴衣へと仕立てる。
後日、出来上がったものが届く。
妻の気に入った絵柄のものがあった。
先月誕生日ということでその生地をプレゼントすることにした。
旦那さんも浴衣いかがですが、和服は似合いそうですが、と言われる。
和服は箱根神社での結婚式の時以外、着たことがない。
この薄手の生地でアロハシャツに仕立てることができたら買うがなあと思う。
店を出て、神楽坂で食べていくかと。
バルやビストロの並ぶ通りがあって、スペインバルに入った。
蛸のフリット、スペイン風オムレツ、ホタテのアヒージョ、
ジャガイモのフライの蛸のラグーソースがけ、ウニのプリン、どれもおいしかった。
赤のサングリアを頼むとブルーベリーが入っていた。
これまで飲んだ中では一番おいしいサングリアだった。
女性の店員もテキパキして、元気もあって感じのよい接客だった。
日曜の夜だというのに満席だった。
帰り道、神楽坂はほどがいいなあと思う。
チェーン店もあるにはあるが、目立たない。
声高に主張せず、わきまえている。
落ち着いた大人の雰囲気を街全体で保っている。
一方で例えば神保町は今、老舗が次々に店を閉めて、
寝こそぎチェーン店化が進んでいって、見る影もない。無残なものだ。
これはなぜなのか。商店街の組合がまとまって、うまく機能しているのか。
それ以前に歴史の積み重ねによる場の力なのか。
雨の中、毘沙門天の前を通り過ぎる。
広島焼きの店も、ワインバーも、賑わっていた。
多くの店が開けていた。