『めご太郎』

帰りの新幹線は駅で買った嶽きみ天ぷらをつまみに、青森の地酒かリンゴの酒か。
だいたいは成田本店で買った地元のミニコミ誌やタウンガイド的なものを読んでいる。
今手元に残っているのを本棚から出してみると
『青森のいで湯めぐり』(グラフ青森)
『rakra別冊 北の酒場本』(ラ・クラ編集室)
『TEKUTEKU別冊 弘前酔連 vol.2』(TEKUTEKU編集部)
 
今回、読んだのがとても面白かった。
青森市出身で横浜で『ハマ太郎』という地域情報誌を出している夫婦による
特別編『めご太郎』(「めご」は津軽弁で「かわいい」という意味)
サブタイトルに「帰省するつもりで訪れる青森市
 
寿司屋だと「三九寿司」や居酒屋の「六兵衛」「ふく郎」といった店が取り上げられている。
全然知らなかった…
僕もそんなに青森市に詳しいわけではないし、全てのガイドブックに目を通したわけではないけど、
旅行ガイドには載らない知る人ぞ知る名店なのだと思う。
地元の人からの口コミで訪れるようになった、足で稼いだ取材。
 
「青森に帰ったとき、私が訪れる場所 青森市編」というコーナーにて
池永理絵という方が、帰省すると言っても3・4日でほとんど実家で過ごして、
昔からの店はなくなって今もよく行くのは成田本店、
A-FACTORYの2階でシードルを飲んで帰る、いつも同じところばかり、とあって、
あーわかるわかるというか、俺も全く同じように過ごしているなあと。
こういう皮膚感覚に訴えてくる地域情報誌、初めてです。
 
堤町にあった「柳原遊郭」の記事も興味深かった。正直、知らなかった。
東京の吉原や京都の島原に並ぶと称された大きな遊郭であったのが1910年、火事で焼失。
旭町の方に移転するも1958年の売春防止法で廃業したという。
旭町に遊郭があったという話はこの前読んだ『龍の伝言』の中にあって、つながった。
 
他、夜店通りの入り口にあった老舗のパン屋「栄作堂」が閉店したこととか、
青森市は実はソース焼きそばのメッカであるとか、
あー懐かしい! え? そうだったの! ばかり。
恥ずかしながら「古書らせん堂」というよさげな古本屋が数年前にできていたことも初めて知った。
(この中では古川に店を構えるとしているけど、最近新町に移転したらしい)
 
面白くて新幹線の中でイッキに読んでしまった。
懐かしいのに新しい。青森市の懐に深く入り込んでここまでその魅力を引き出せるとは。
青森に対するそこはかとない愛を抱えつつ、
普段は横浜に住んでいるという距離感がこの絶妙な肌ざわりを生むのだろう。
第2号に期待。