熊本の長崎次郎書店でたまたま目にして買った
ここで取り上げられていたアルバムのいくつかを取り寄せて聞いてみた。
ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンが晩年、
最後のアルバムとして制作した『In My Life』がよかった。
イギリスらしいコメディのセンスと女王陛下を頂点とする典雅な雰囲気があって、
ビートルズをカバーしたアルバムとしては僕の聞いた限りこれが一番よくできているのではないか。
最後、「In My Life」の歌詞をショーン・コネリーが朗読する。これが泣ける。
『I Am Sam』のサントラのように
The Smithereens『Meet The Smithereens』のようにバンドがアルバムごとカバーしたり、
『This Bird Has Flown』のように『Rubber Soul』のカバーを集めて1枚のアルバムにしたり、
ビートルズをカバーしたアルバムにはいろんなのがある。
ここでふと思う。
一方でストーンズをカバーしたアルバムってあんまり聞かない。
これだけCDを持ってれば既発曲を集めたコンピレーションの1枚でもありそうだが、見つからなかった。
あとあれか、毛色の変わったところではリズ・フェアが『Exile On Main St.』の
女性からのアンサーとしてつくった『Exile in Guyville』か。純粋なカバーではないけれど。
もうひとつ変わったところではツアーのメンバーだったティム・リーズによるジャズ寄りのカバー
『The Rolling Stones Project』の2枚。
もちろん、カバーの名演はたくさん存在する。
オーティス・レディングによる「(I Can't Get No) Satisfaction」
アレサ・フランクリン「Jumpin' Jack Flash」
デヴィッド・ボウイ「Let's Spend the Night Together」
といった辺りが有名だろうか。
人気や知名度、売上からすると実は全然相手にならなかったりするのか。
後続のミュージシャンへの影響という面でも。
あるいはミュージシャンからするとカバーが難しいのか。
演奏はできても、あの味を出すのが。
この時代にあえて80年代ストーンズの『Undercover』や『Dirty Work』を
全く新しい解釈でまるごとカバーするアルバムをつくってみたらかなり話題になると思うけど。
あんまり聞かれてないアルバムゆえに思い切った実験ができる。
70年代だと『Black & Blue』をカントリー系ミュージシャンがギター一本でカバーする、
なんて企画があったら是非聞いてみたい。