「深刻になるな、真剣になれ」

最近のトヨタのCMで、新型コロナウィルスの世界的な影響を受けて
各国の責任者が一言ずつ語っているものがあった。
そのひとつにトヨタの社長が
「深刻になるな、真剣になれ」
と語った、というものがあった。
 
ここ数カ月で聞いた言葉の中では最も突き刺さった。
さすがトヨタの社長ともなると言うことが違うな、と感心させられた。
数字だの計画だのと言ってるだけではなく、
社員の行動指針となる短い一言を放つことができてこそ経営者だよな、と思った。
 
…のであるが。
調べてみたらこの名言は出どころがあって、
テニス・プレイヤー:ビヨン・ボルグによるものだった。
恥ずかしながら知らなかった。
僕が物心ついた80年代前半は
ジョン・マッケンローかビヨン・ボルグか、という時代だった。
伝説のトッププレイヤー。
 
恐らく、試合で思わぬミスをしたとか、流れが劣勢になったというときの
心持についての言葉なのだと思う。
起こったことをあれこれ嘆いても仕方がない、
どんな状況であれこれからの一球一球が大事なのだと。
それは逆に言うと相手の方が思わぬミスをしたとか、流れが優勢になったときにも
同じことであって。そこで一瞬でも気が緩んでしまうとイッキに奪われてしまう。
 
男と女、親と子、黒と白。
人は何事であれ対の片割れを求め、対が成り立つときより心に響くようになる。
単に「真剣になれ」と言うだけなら簡単。
その前にどんな対になる言葉を加えるか。
それがここでは「深刻になるな」
ここにボルグの非凡さを感じる。