無音をつくる

『透明人間』が再度映画化されたというニュースを見た。
影技術、編集技術の進化により迫真性の高い透明人間が生まれることだろう。
透明人間、つまり目に見えない人間。
ということは他にそういうバリエーションがつくれないか。
音に聞こえない人間とか。
歩いても足音がしない。音もなく忍び寄る。
でもそれは声を発しようとしても伝わらないということにもなる。
 
映画にしたところでたいして見どころがなさそうだけど、
そこが脚本家の腕の見せどころか。
その制約から何が生まれるか。
単なる盗賊だとつまらないだろう。
 
映画のタイトルは思い出せないが、音に敏感な怪獣や宇宙人がいて、
音がした瞬間そこに襲い掛かるというのがあった。
人類の生き残りは息を潜めておびえながら暮らすことになる。
そんなとき、この音に聞こえない人間が
科学の力なのか超能力なのかで生まれたらいいわけで。
音をかき消す装置を常に携行しているとか。
 
といったことを寝ながらつらつらと考えるうちに、
そういう音をかき消す装置があるといいのではないか、
既にあるんだろうなと。
寝床でスマホに手を伸ばし、検索してみると
辺りを無音にする機械は出てこなかったが、
睡眠時用にホワイトノイズを発する製品とか
オフィスの話し声をマスキングする製品なんてのが出てきた。
音全般を消すことはできなくても、スピーカーから発する音が
人の声など特定の音を打ち消して中和させることは可能ということか。なるほど。
 
この技術が進化していくとあらゆる音を瞬時に消していくことも可能になるんだろうな。
脱臭剤が臭いの粒子を包んでしまうように。
図書館や受験会場、工事現場なんかにその装置が設置されていくことになる。
さらに進んでいくと目の前のすぐ近くの人にはその声が聞こえるが、
少し離れると聞こえなくなるというシールドのような効果をもつものが出てくるとか。
完全にプライバシーを保って相談事を行いたいときに使う。
あるいは公園で逢引する恋人たちか。
 
そういえば、先日 AirPods Pro を購入。
ノイズキャンセリング機能が格段に進化というので装着してみたら
辺りの物音が全く聞こえなかった。
歩いているのにその音が聞こえないとフワフワと宙を漂っているように感じた。
音というものが僕らを地面に結び付けているのだな、ということを思う。