Weather Report『8:30』

今日、8月30日は個人的にフュージョンの日としている。
70年代から80年代にかけてのフュージョンを代表するグループ、
Weather Reportのアルバムに『8:30』というライヴアルバムの名盤があるから。
 
60年代のマイルス・デイヴィスの黄金のクインテットに参加していた
キーボードのジョー・ザヴィヌル、サックスのウェイン・ショーターが2枚看板となり
パーカッションのアイアート・モレイラ、ベースのミロスラフ・ヴィトウスらと共に結成。
看板の2人以外のメンバーはよく入れ替わったが、
ベースに若き天才ジャコ・パストリアス
ドラムにピーター・アースキンを迎えた70年代末のカルテットでその創造性の頂点を極める。
4人の力が拮抗し、ひとつひとつの音に無駄がない。漲っている。
を支えるバックという感がどうしてもあった。
『8:30』はその1979年の作品で、「8:30」とは当時のステージの始まる時間を表している。
アルバムはグラミー賞のベスト・ジャズ・フュージョン賞を獲得した。
 
彼らはフュージョンをやろうとしたというよりも、
彼らがエレクトリックな楽器でやろうとしたことがフュージョンとなった
と言っていいんじゃないかと僕は考えている。
60年代のクインテットでアコースティックなジャズを極めたマイルス・デイヴィス
『In A Sirent Way』や『Bitches Brew』でエレクトリックな方向に向かったのと歩調を合わせて、
卒業生の2人も、という。そもそも時代の流れがそうだった。
重層的なエレクトリック・ファンクという方向性であって
制御不能寸前のカオスを構築しようとしたというか。
その演奏に情報量は多くてもカオスに向かうことはなかった。
どんなに猥雑な曲を演奏しても流麗なところがあった。
その流麗さが今に至るフュージョンの礎になったんじゃないかと。
 
『8:30』はジャコ・パストリアスの加わった『Black Market』『Heavy Weather』からの曲がほとんど。
その後の『Mr.Gone』『Weather Report'81』『Night Passage』と
ジャコ・パストリアス在籍時のアルバムはどれも素晴らしい。
脱退後は徐々に失速していくか、ドラムに若き日のオマー・ハキムが加わったりと
最後までフュージョン界の名門であり続けた。
『8:30』のレコードでは2枚組で、A/B/C面がライヴ、D面がスタジオ録音となっている。
彼らの過去と今とをつなげる構成になっていて面白い。