先週買ったCD #2:2020/10/20-25

給料日前後ということもあってまた山のように買ってしまった……
HMV のサイトで月に一度まとめて買うのと、
タワレコ新宿店でポイント15倍になるときに買うのと。などなど。
 
2020/10/20: TowerRecords 光が丘店
Ornette Coleman 「Dancin' In Your Head」 \1480
 
2020/10/20: www.amazon.co.jp
Michael Franti and Spearhead 「Everyone Deserves Music」 \738
 
2020/10/20: ヤフオク
Orchestra Baobab 「Pirates Choice」 \900
 
2020/10/21: www.amazon.co.jp
LINDBERG 「Lindy Wingding」 \580
(V.A.) 「The Blair Witch Project Josh's Blair Witch Mix」 \199
 
2020/10/22: www.hmv.co.jp
The Stalin 「trash」 \2750
忌野清志郎 「Compiled EPLP」 \4400
佐野元春 「Motoharu Sano Greatest Songs Collection 1980-2004」 \4400 
四人囃子四人囃子アンソロジー」 \5324
Lady Gaga 「Chromatica Deluxe Edition」 \3520
Jason Mraz 「Look For The Good」 \2420
ARCA 「Kick I」 \2420 
Meg Baird & Mary Lattimore 「Ghost Forests」 \1518
XTC  as Dukes of Stratosphear 「Psurroundabout Ride」 \3465
 
2020/10/22 : www.amazon.co.jp
Caetano VelosoFina Estampa」 \1430
 
2020/10/23: TowerRecords 新宿店
John Lennon 「Gimme Some Truth」 \2750
Beabadoobee 「Fake It Flowers」 \2750
Bob Marley & The Wailers 「Live! 2CD Deluxe Edition」 \3960
Chet BakerChet Baker Sings」 \1485
Juana Molina 「Anrmal」  \2739
 
2020/10/23: DiskUnion 新宿中古館
赤い公園 「純情ランドセル 初回限定盤」 \1450
(V.A.) 「プログレマン 遠藤健児トリビュート・アルバム」 \750
Chelsea Wolfe 「Abyss」 \1500
Todd Rundgren 「Live in Chicago '91」 \1100
Utopia 「Live in Tokyo '79」 \1200
Utopia 「Redux '92: Live in Japan」 \580
Monthy Alexandar 「In Tokyo」 \880
 
2020/10/23: DiskUnion 吉祥寺店
Madredeus 「Lisboa」 \750
(Soundtracks) 「Amores Perros」 \680
(Soundtracks) 「Pola X」 \680
 
2020/10/23: DiskUnion 吉祥寺ジャズ&クラシック館
中本マリ&横内章次+1 「Little Girl Blue」 \1650
 
2020/10/24: www.amazon.co.jp
上田ケンジスターリンが聴こえる」 \1371
 
(V.A.)「The Blair Witch Project Josh's Blair Witch Mix」
先週『トーク・トゥ・ハー』のサントラと
ペドロ・アルモドヴァル監督のミックステープについて書いたときに
ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の「Josh's Blair Witch Mix」を引き合いに出したものの
持ってなかったことに気づいて慌てて購入。amazonで199円だったので躊躇なし。送料の方が高い。
Lydia Lunch, PiL, bauhaus, Laibach, The Afghan Whigs, Meat Beat Manifesto 
僕としてはドンピシャなラインナップなんだけどさほど面白くなかったのは
とある若者が個人用につくったミックステープという設定によるものか。
ペドロ・アルモドヴァル監督の『トーク・トゥ・ハー』のテープは
映画の世界を広げるためのものであって、
様々なジャンルの音楽が混ざり合っていた。
ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の方はむしろ個人の内側に閉じていくものなのだろう。
(でないと後に異質な密室空間でのホラーというものが成り立たない)
ゆえにオルタナティヴなロックの中でもダークサイドにあるものだけ、となって予定調和。
 
Michael Franti and Spearhead 「Everyone Deserves Music」
ピーター・バラカンの先日出た00年代以後の音楽のガイドブック『テイキング・ストック』にて
かっこいいジャケットだなと間接的なジャケ写買い。
モノクロの写真で、グラフィティされたごついラジカセを肩に担いでいる。
これまでいろんな評論家のガイドブックを参考にしてきたけど、
最近はやっぱバラカン先生が一番勉強になるなあ。
知見の広さ、音楽に対する愛情の深さ、誠実さ。
その分、読むたびにいろんなCDを買い込んでしまうことになるが……
Michael Franti という方は基本イケメンでどこかで見たことあるなあと思ったら、
The Disposable Heroes of Hiphoprisy という
ヒップホップのユニットで活動していて1枚持っていた。
それも『死ぬまでに聴きたい1001枚のアルバム』という分厚いディスクガイドで見かけて
ジャケットがかっこいいなと思ったからだった。
今回のアルバムはヒップホップの枠を出て、よりロック、ソウル、ポップよりな音。
休日の午後のFMラジオに似合う感じ。
 
Meg Baird & Mary Lattimore 「Ghost Forests」
Meg Baird はかつて Espers というバンドで活動していた。
ジャンルで言うとフリー・フォークということになるだろうか。
でもサイケデリックで病んでる感じではなく、どちらかといえば正統的なフォーク。
Anne Briggs や vashti Bunyan のような。
でも音響系の世代なのできめ細かくて鮮明な空間の音に聞こえる。
幽玄で神秘的。超能力者という名前もダテじゃない。
それはソロになっても変わらずで、というか変わらなすぎで、
ハマらない人は何を聞いても一緒かもしれない。
僕としては、妖精と会話できる一人ぼっちの少女が10年後は立派な魔女になって森を旅立つだろう、
みたいな佇まいにしびれて、もうこの声だけで永遠に飽きることなく聞くことができる。
2年前に出たアルバムに気づかず遅ればせながら買ったんだけど、今回は連名。
Mary Lattimore は全く知らなかったのですが、フィラデルフィアのハープ奏者とのこと。
より幽玄の度合いが増して
燦々と日差しを浴びながら森の奥の沼に一人静かに沈み込んでいくような美しさ。
6曲で30分ずつ。ボーカルあり、インストだけが3曲ずつ。この組み合わせでもっとやってほしい。
 
Orchestra Baobab 「Pirates Choice」
この夏はというかこの夏も、だけどレゲエばかり聞いていてひと段落してからはアフリカの音楽へ。
それこそ『200CDピーター・バラカン選ブラックミュージック』を参考にしながら。
萩原和也『ポップ・アフリカ800』といったガイドブックも評判がよかったので取り寄せた。
Amadou & Mariam / Lobi Traore / African Virtuoses / Thomas Mapfumo といった辺り。
一頃はアフリカと言えば Youssou N'Dour / Salif Keita / King Sunny Ade / Fela Kuti  で、
その後は Tinariwhen や Konono #1 が話題になって。
いや、有名なミュージシャンはもっともっとたくさんいるわけで。
アフリカ大陸は広く、国も、民族も多い。
上記のガイドブックから総合するに
現時点での代表的なグループと言えば Orchestra Baobab となるようだ。
70年代初めにセネガルのナイトクラブの箱バンとして活動を開始、ラテン音楽に影響を受けている。
80年代前半まで活動を続けるが、
Youssou N'Dour ら新しい世代の音楽に押される形で活動を停止したという。
その Youssou N'Dour の後押しを受ける形で00年初めに再結成。今も活動している。
このアルバムは1982年に録音されたもの。その名の通り最初は海賊盤として広まった。
独特な浮遊感と哀感のある音楽はアフリカであり、それ以上のどこでもない何かであり。
土埃と喧騒に満ちた路地裏に明け方吹き抜ける温かい風のような。
ライスレコードからの国内盤帯付きを入手したく、
amazon や DiskUnion に中古が入庫しないか待ち続けるうちに
ヤフオクで安価に入手することができた。
 
Ornette Coleman 「Dancin' In Your Head」
先月だったか、新宿三丁目末広亭の斜め向かいにある地下のカレー屋「エピタフカレー」の壁に
レコードのジャケットが飾られているのを見て、有名な作品だけど聞いたことなかったなと。
髪が髭になり口元が額に描かれた模様になりと
上下逆さまにしても顔になる人物が真っ赤な派手な地に描かれたインパクトある絵。
内容もドタバタ、ギクシャクした遊び心あるファンクミュージック。
大人のおもちゃ箱をひっくり返したかのような。一言で言うとチンドン屋っぽい。
かの有名な問題作「Free Jazz」は正直よくわからないんですよね。
あれはメロディーやリズム以前に姿勢を聞くべきものなんでしょうね。
ちなみに購入したのは光が丘のタワレコ
過日、Thelonious Monk を探したらなかったのに、Ornette Coleman のこちらはあった。
都内で一番品ぞろえの貧弱なタワレコ
昔は洋楽が3列あったのに今は1列のみ、ジャニーズとK-POPばかりでスカスカ。
でもそのタワレコの火を消してはいけないと毎月何かしら買うようにしているのであった。
 
Dukes of Stratosphear 「Psurroundabout Ride」
XTCサイケデリックサウンド追及を目的とした変名バンド
(タイトルの先頭に意味もなく"P"がつくのはその表れ)
によるミニアルバム「25 O'clock」とフルアルバム「Psonic Psunset」を1枚にしたのを
Porcupine Tree の Steven Wilson が2019年にミックスし直したもの。
YES や King Crimson の一連のアルバムの仕事で有名ですが、
XTCのアルバムも1年に1枚ぐらいずつのタイミングで彼が新しいミックスを手掛けている。
Yes 「危機」(Closet to the Edge)を聞いたときには度肝を抜かれた。
Steven Wilson のミックスの印象はオーガニックで鮮明、彫が深いという感じか。
余計な皮膜を取り払って本来の音を取り戻すというか。
それまでの音が平面のスクリーンで見ているのだとしたら、3Dの体験になるというか。
音の鳴り響く空間が、高級なステレオではなく iPhoneAirPods でも存分に感じられた。
このアルバムも全く別物になりました。
特に「25 O'clock」は元々総天然色サイケデリアだったのが思いっきりブーストされている。
いろんな摩訶不思議な音が鳴らされているのがひとつひとつくっきり聞こえる。
時期的に整理すると
「The Big Express」(XTC / 1984)で行き詰まって
「25 O'clock」(Dukes of Stratosphear / 1985)でやりたい放題やって弾けて
「Skylarking」(XTC / 1986)でトッド・ラングレンのプロデュースに委ねてみたものの
「Psonic Psunset」(Dukes of Stratosphear / 1987)喧嘩して疲れてまた趣味に走る
というとこかな。
今回改めてその魅力を再発見したのは「Psonic Psunset」の方。
サイケデリックな装飾を施していない、一見地味な愛すべき小品集。
(べきということはその時点で愛されていない、省みられていないということ)
XTCの未発表曲集の裏ベストみたいな。
シングルにはならないけど、B面になっていたらしっくりくるというような。
 
The Stalin 「trash」
長らく廃盤となり決して再発されなかった幻とされる1stアルバム。
遠藤ミチロウが許可しなかったとも、権利関係が複雑すぎて現実的に不可とか諸説あった。
しかし遠藤ミチロウが亡くなる前、がんで闘病生活にあったときに再発を許可したようだ。
その辺りの簡単な経緯をマネージャーが twitter に綴ったのを画像にして
amazon のユーザーレビューに上げられていた方が。ありがたいものです。
(他のレビューでは音質が悪いからよくないという人も。なんだかなー。
 若い頃ダビングを繰り返したテープで聞いたという人がこの再発を喜んでいて、
 やはりそういう人が第一に聞くべきアルバムだと思う)
81年発表でスタジオ録音とライヴ録音が10曲ずつで44分。
聞くことのできた人は日本を代表するパンクのアルバムと称し、僕も聞いてみてそう思った。
よくも悪くもこれが当時の日本のパンクの音をリアルに切り取ったものではないか。
スタジオ録音の最初の3曲、スピードの速い3曲は正直、つまらなかった。
ダダダダダとやってるだけで
ギターもベースもドラムも演奏をキープするだけで精いっぱいというような。
それが4曲目、スピードの落ちた「革命的日常」で
ようやくそのバンドならではの演奏が聞こえてきた。
遠藤ミチロウの歌も労働、学習、生殖、睡眠と繰り返すだけ。
スターリンというバンドはただのパンクではなく
アルバムごとに進化というか深化していったと思う。
だから、僕にとって最高傑作はラストアルバムにしてライヴアルバムの「For Never」となる。
(何をもってどれがラストアルバムなのかは難しい問題だけど)
遠藤ミチロウは21世紀になってからも全国のライブハウスで
アコギ弾き語りのステージを一年中やってた人なので
「trash」も後半のライブの方が断然よかった。
生々しい。冒頭、サイレンが鳴り響く中でスタートする。
ステージの上から臓物を投げたとかいろいろ伝説があるが、放送禁止用語も普通に出てくる。
徹底的に異物であろうとした音。異物からも異物でありたいともがいた音。
ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルというありきたりな編成のもどかしさを逆説的に必要とした音。
 
LINDBERG 「Lindy Wingding」
人間だれしも青春時代に聞こえてきた歌を聞きたくなるものであって。
カラオケで覚えたとか、店の有線でかかってたとか、ドラマの主題歌になったとか。
最近ふとリンドバーグが聞きたくなった。
今だとあちこちで投げ売りだろうと HMV のサイトで見てみると中古が110円から。
amazon だとレンタル落ちが1円から。探すとレンタル落ちではない帯付きが数百円で見つかる。
荻窪の床屋に行った帰り、ここには100円で山ほどあるだろうとブックオフに入ってみたら
CDの棚はだいぶエリアが小さくなって格安の棚は510円と290円のコーナーのみ。
ブックオフって最近100円のコーナーってないのか。それとも荻窪店だけか。
そのどちらにも一番勢いのあった頃の3枚目1枚しかなくて
290円の方はレミオロメンレベッカに挟まれていた。
先日 HMV でオーダーしたベストアルバム「Flight Recorder III」が330円。
限定盤のライヴアルバム「Lindy Wingding」は amazon で580円。
四角い缶のケースに入って帯、特典のシート付。
この2枚を iPhone に入れて聞いた。
初期の「今すぐ Kiss Me」や「LITTLE WING」「BELIEVE IN LOVE」が文句を言わせない名曲。
その後の曲にどんなのがあったか忘れてたけど
両方に入っていた「会いたくて」や「だってそうじゃない!?」を聞いて、
あー、あったあったあの頃!と。
アラフィフ圏内に入ってきたおっさんからするとこういう曲素直に涙腺がゆるむ。
 
Juana Molina 「Anrmal」 
今月何よりも待ち望んでいた新譜。発売日の朝イチにタワレコに行って
入荷したばかりでまだ検品中というのを店員の方に無理を言って持ってきてもらった。
センスの尖りまくった知的でどこか不思議な佇まいのある音楽をクリエイトする女性を
どこそこの Bjork と呼ぶことがあるけど、
Juana Molina も日本で脚光を浴び始めた時期に
アルゼンチンの Bjork と呼ばれたことがあるように思う。
もはやそういう説明は必要なくて
むしろ父親がタンゴの歌手で母親が女優という芸能一家に生まれ育ち、
音楽活動を初めても売れなかった若い頃にバイト感覚で始めたコメディ女優で国民的スターになった、
だけどそれをある日あっさり捨てて音楽に専念した、という経歴の方が重要だと思う。
音楽的感性という点では僕は Bjork に並ぶ唯一の人だと僕は感じている。
我々の住む世界とは異なる次元、異なる位相の隙間から垣間見える音、リズム。
クールでファニーでストレンジ。
いつものスタジオ録音のアルバムが彼女の頭の中にあるものをいかにして形作るか、
こう来たか、というものであるのに対し、
今回はバックのメンバーを入れたライヴアルバムなので確固たる肉体性がある。ロック寄りの音。
僕は2008年と2015年と2回、 Billboard Live Tokyo での来日公演を見たことがあった。
ギターを奏でながらどんどんループさせて重ねていって音の大伽藍をつくる。
アンコールではバックの男性2人と
テーブルの上に置いたグラスを持ち上げて叩き付ける音と手拍子だけでリズムをつくる。
3人でテーブルを回りながら、グラスを持つ担当を交代しながら。曲芸のようだった。
探せばどこかの国でそれをやったときの映像が Youtube に今もあるはず。
 
(Soundtracks) 「Pola X」
吉祥寺パルコの地下1階に移転した DiskUnion のサントラコーナーで見かけて購入。
地下2階は UPLINK になったというのは知ってたけど
初めて下りてみて、そうか、リブロはなくなったのかと。
なんだか寂しい。今頃知ったのか、という話ですが。
いせやで焼き鳥を食べながら、生ビールを飲みながら解説を読む。
レオス・カラックス監督は以外にもこれが初のサントラとのこと。音楽がかなり好きそうだけど。
汚れた血』で David Bowie「Modern Love」をバックに
ドニ・ラヴァンがもどかしそうに街を駆け抜ける場面、
あれ以上に映像と音楽が一体化したものって見たことがない。
ポンヌフの恋人』のラストで流れた Le Rita Mitsouko「Les Amants」は忘れられない。
これまでは既成の曲を組み合わせていたのに対し
この作品で初めてカラックスは映画用の曲を依頼したと書いてあった。
その相手がなんと、Scott Walker で。
Radiohead の Thom Yorke であるとかリスペクトするミュージシャンが多い。
60年代にアイドルロックグループで活動、でもそれが嫌になって自殺失敗。
その後のソロは人生の暗黒面というか一人の孤独な男の深淵というか奥底を描くものばかり。
と言いつつ正直僕も代表作とされる4枚目しか持ってないですが。
このサントラでは流麗なストリングスの流れるクラシック風の曲と
ノイジーなインダストリアルの曲と真っ二つに分裂、断絶。
でもどちらもそこはかとない不安をかき立てる。
映画からインスパイアされたという Smog と Sonic Youth の曲もよかった。
映画に使われてないのが不思議というぐあいマッチしてる。
あと、ベイルートの国民的歌手 Fairuz の曲も使われている。
どの場面でだったかはもはや全然覚えてないけど……
 
中本マリ&横内章次+1 「Little Girl Blue」
吉祥寺パルコに移転した DiskUnion を見に行った後、
ジャズとクラシックの別館はまだあるのかと見に行く。まだあったのでほっとする。
2階のジャズのレジ前に TBM(Three Bline Mice)レーベルをフィーチャー。
DiskUnion がディストリビューションだからだろうけど。気になるので一枚選んで買う。
それがこの「Little Girl Blue」なわけですが。
女性の顔がこちらを見ているジャケットに僕は弱いわけで。
というか男性皆弱いはず。名盤ばかり。
Marina Shaw 「Who Is This Bitch, Anyway」の睨んでるのとか。
笠井紀美子 「This Is My Love」のけだるいのとか。
実際聞いてみると歌っている中本マリという方には特に興味をもたず。
70年代からのジャズシンガーで何枚かアルバムを出している。
僕が興味をもったのはバックでオルガンを弾いていた田代ユリという方。
正確かつリリカルな音。
しかしこの方が他で弾いているのを聞いてみたいと思ってもなかなか出てこない。
ピアノもエレクトーンもパイプオルガンも弾けて教本もたくさん出してるのに
当時出したLPはほとんどCD化もデジタル化もされていないようだ。
世の中そういう人ばかりなんだろうな。
 
ジャズの分野ではこの Chet Baker の位置づけは今どうなっているのだろう?
トランペット奏者にして歌も歌う。
甘いマスクで若い頃はアイドル的な人気だったと聞く。
ベース、ドラム、ピアノの簡素な演奏をバックにスローナンバーを歌う。
時にはトランペットを吹く。
時代を超越したものがここにはある。
120年後、無人島に持っていく10枚を選べと言われたらこのアルバムが入るような気がする。
特に「My Funny Valentine」が有名で、
先週書いたペドロ・アルモドヴァル監督の『トーク・トゥ・ハー』のミックステープにも入っていた。
自身の歌もバックの演奏も特に何が巧いというのでもない。
でもこの曲が持つ情感というものを 100% 捉えている。
中学生の頃だっただろうか。バスに乗って青森市街へ。
母と妹とどこかにでかけ、昼をどこかで食べることになった。
割と早い時間で開いているところは少なかった。
そんな中、とある喫茶店かつ夜はバーみたいなところがあってそこに入った。
アーケードのはずれ、今はなき千葉室内のビルがあった柳町通りで港の近く。
店員の方からこの時間帯はハンバーグならできるけど時間はかかると言われて待つことにした。
その時にかかっていた曲が「My Funny Valentine」で
中学生の僕にも歌詞を聞き取ることができた。
暗闇の中でその訥々とした歌声が響く。
こんな寂しい唄があるんだ、と思った。忘れることができなかった。
高校生になって、大学生になって、社会人になって時々思い出して探してみる。
あれは誰が歌ってるんだろうと。
例えば今 iPhone に入ってるのだと、Rickie Lee Jones や Radtka Toneff が歌っている。
僕はずっと女性シンガーが歌っているのだと思い込んでいて、それが回り道のもとになった。
ずっとずっとずっと探し続けた。
いや、これは Chet Baker なのだと数年前に気づいていた。
だけどアルバムを買って確かめる気にはすぐならなかった。
いつこの旅を終わらせるのか、いつこのファイルを閉じるのか、その時を待っていた。
なんだろうな。地元光が丘のタワレコの数少ないジャズの品ぞろえの中に見つけた時、
今ここかなと思った。