先週買ったCD #67:2022/01/17-2022/01/23

2022/01/19: www.amazon.co.jp
Wire 「It's Beginning To And Back Again」 \2400
 
2022/01/19: diskunion.net
MELON 「Deep Cut」 \1350
Joy Division 「The Best of Joy Division」 \1980
TOTOTOTO IV」 \1200a
TOTO 「Absolutely Live」 \780
JB's 「Food for Thought」 \980
 
2022/01/19: www.amazon.co.jp
Sly Mongoose 「Dacascos」 \396
 
2022/01/29: www.hmv.co.jp
チャットモンチーAwa Come Forever Edition」 \2431
大瀧詠一NIagara Concert '83」 \5610
布谷文夫 「悲しき夏バテ(デラックス・エディション)」 \2425
Hi-Standard 「Love Is A Battlefield」 \297
(V.A.) 「Major Force Compact」 \1188
 
2022/01/20: diskunion.net
The Doors 「Live In Detroit」 \6000
 
2022/01/21: DiskUnion 新宿ジャズ館
秋吉敏子 「黄色い長い道/秋吉敏子リサイタル」 \2305
 
2022/01/21: DiskUnion 新宿中古館
Isabelle Adjani 「Pull Marine」 \530
 
2022/01/21: DiskUnion 新宿インディ・オルタナティヴロック館
TOTOTOTO」 \1250
TOTO 「Hydra」 \1100
 
2022/01/21: diskunion.net
TOTO 「Turn Back」 \980
No Means No 「Live + Cuddly」 \480
 
2022/01/21: www.amazon.co.jp
You Am I 「Hourly Daily (Superunreal Edition)」 \1262
 
2022/01/22: Coconuts Disk 吉祥寺店
Aerosmith 「Little South of Sanity」 \300
Green Day 「Shenanigans」 \300
Robert Crumb and His Cheap Suit Serenaders 「Number 2」 \1000
Dolly Mixture 「Dreamism!」 \1320
 
2022/01/22: TowerRecords 光が丘店
秋吉敏子 「トシコ旧友に会う」 \1650
 
2022/01/23: diskunion.net
Carpenters 「Live In Japan」 \7450
TOTO 「Isolation」 \2151
The Who 「Join Together」 \680
King Crimson 「A Young  Person's Guide To King Crimson」 \880
 
2022/01/23: diskunion.net
Tesla 「Mechanical Resonance」 \7350
 
---
Wire 「It's Beginning To And Back Again」
 
1976年、1977年にパンクというものが生まれて、
そこから出てきた中には今も現役を貫くバンドがある。
日本の The Mods がそうか。
少し時代は下るけど、ニューロティカも挙げてもいいかもしれない。
(そういえばモヤさまが八王子を訪れていたとき、あっちゃんの営む駄菓子屋を訪れていた)
海外にもあるだろうかと調べてみたらイギリスの The Adicts がそうだった。
『時計仕掛けのオレンジ』の格好をした。
探せば他にもあるんじゃないかな。
本来若さゆえの初期衝動に立脚しているはずの音楽が長続きするというのは
なんだか矛盾しているようだが、成熟ゆえのパンクというものもあるのだ。
 
2種類の在り方がある。
・パンクというスタイルにこだわって活動を続ける。
・パンクから始めるも、音楽性を変えながら活動を続ける。
 
今挙げた3つのバンドはどれも前者。
パンクの一言では片付けられない、それぞれの幅の広さがありつつも。
後者の代表がイギリスの Wire か。
厳密にはずっと演奏していたわけではなく
2回解散してその都度数年の休止期間を経て再結成、
今もアルバムをコンスタントに発表している。
少なくとも再結成ビジネスでツアーだけ、というバンドとは違う。
 
2回解散ゆえにその活動は3つの時期に分けられることになる。
1)70年代後半から80年代初めまでのパンク、ポストパンク期
2)80年代半ばから90年代前半までのいわゆる MUTE期
3)2000年以後今に至るまでの第3期
 
このうち、すみません、正直に言って3)については
全く聞いていないので何と呼んでいいかわからず……
 
人気があるのは1)か。
EMIから発表された3部作
「Pink Flag」(1977)「Chairs Missing」(1978)「154」(1979)は
今も紙ジャケにスペシャル・エディションと再発され続けている。
ドラム以外のメンバーはそれまで演奏経験がなく、アート・スクール出身。
それがパンク・ムーヴメントに触発されて結成。
その姿勢について『ロックでなければなんでもいい』という名言を残すも
今聞くと、特に1作目の「Pink Flag」はヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという編成、
ビートがあって歌があってというのはパンクロック以外の何物でもない。
曲も1分台とか1分ないとか短くて速い。1枚のアルバムに21曲入って36分。
それがやがて2作目、3作目とポストパンクの領域を開拓していく。
1曲の長さも3分や4分となってその分様々なアイデアやイマジネーションが注ぎ込まれていく。
ライヴ音源だと10分を超える長尺の演奏もあって、
ロックを解体したような実験的なものとなっていた。
 
この時やりつくしたのか、大人になって違和感が生まれたのか、
2)以後、1)の曲は僕の知る限り演奏していない。(熱心なファンに確認したい)
一昨年、2020年にはセルフカバーアルバム「20:10」が発表されたが、2)の曲が中心だった。
 
僕も主に聞くのは2)となる。
MUTEレーベルからアルバムを発表していて、
MUTEならではの実験性、
エレクトロニクスに親和性の高い音(あるいは逆に意識的に遠ざけた音)、
そして未来的なアングラ的雰囲気というか、
空虚な閉鎖的空間の暗さとでも呼ぶべきものを持っていた。
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという基本構成は変わらず。
そこにエレクトロニクスが加わる。
どこか突き放したような、隙間のあるひんやりした音作りは
音像や音響というものへの関心を高めていた。
それでいて機械に乗っ取られることなく、
肉体性や醒めた熱意、人間的な物をきちんと持っていた。
無機的な物と有機的な物とのバランスがとても良い音だった。
寒々しいのに、じんわりと温かい。
 
僕は何も知らず、高校1年生のときに青森駅前アーケードの Be Bop で
当時の最新作「Manscape」(1990)のボーナス・ディスク付きの国内盤を見つけ、
地下の広大な空間に建築された円型の未来都市、その模型、
みたいなジャケットをかっこいいと思い、なけなしの小遣いで買った。
ロックのガイドブックから初期3部作のことは知っていたけど、
そのつながりはよくわからなかった。
”Torch It” や ”Morning Bell”といった
それまでに聞いたことのないタイプの曲に魅了され、MUTE の他のバンド、
以後、僕は Einsturzende Neubauten / Nick Cave & The Bad Seeds /
Depeche Mode / Laibach  といった辺りへと興味の範囲を広げていった。
Silecon Teens の国内盤も買ったなあ。
 
2)の時期の最高傑作というと普通は
再結成後1作目の「The Ideal Copy」(1987)か
「A Bell Is a Cup...Until It Is Struck」(1988 邦題は「虚実の構造」)ということになるだろう。
僕は「The Drill」(1991)かな。これを一番よく聞く。
再結成後の最初のEP「Snakedrill」(1986)に収録された代表曲”Drill”の
リミックスというか自ら再構築した曲だけを集めていて、
これもあれも元は同じ曲なのか、と不思議に思うぐらい音楽性が幅広い。
そして最後にライヴバージョン。
脅迫的な反復リズムに絡みつくギターノイズ。
10分を超える演奏なのにこれが何度もリピートしたくなる。
 
再結成後3作目の 「It's Beginning To And Back Again」 (1989)を
持ってなかったことを思い出して購入。
国内盤帯付きを探そうとするものの、そもそも amazon や diskunion で検索しても
なかなか国内盤がヒットしない。
この時期のはカタログ情報が古いんでしょうね。
1)の初期3部作と違って再発もされない。
ようやく見つけて2,500円、しかも見本盤。
これしか見つからなかったため致し方なし。
 
「A Bell Is a Cup...Until It Is Struck」発表後のツアーで録音した
シカゴとポルトガルの音源をスタジオで再構築したのだという。
彼らのもう一つの代表曲となった ”Eardrum Buzz” などの新曲が半分と
「The Ideal Copy」「A Bell Is a Cup...Until It Is Struck」からの曲が半分と。
しかしライヴの生々しさは削ぎ落して、なんとも人工的な音。
リアルな音を0と1に置き換えて並び替えたようなデジタルな音で
ヒューマニズムの残滓を残した曲を演奏する。
なのにそれがギター、ベース、ドラムによるもの。
 
どこにもカテゴライズされることのない音楽というのが
長続きする秘訣なんだろうなあ。
 
ちなみに。パンクとポストパンクの違いについてこう考える。
音の隙間があったらパンクはギターやビートで埋めようとする。
ストパンクはその隙間をさらに広げ、その余白にさらにイメージを与えようとする。
PiL しかり、Magazine しかり、Wire しかり。
そういうことなんじゃないかな。