海上都市というもの

2060年の未来がどうなっているか、
様々な技術分野の動向をもとに予想するという本を読んだ。
空飛ぶ車が自動運転の救急車となって、とか、
リアルとネットが融合して都市全体がRPGゲームの舞台になるとかそういうの。
その中のひとつに、海上に浮かぶ都市というのがあった。
 
ベトナムなど東南アジアの川や湖では
「フローティングハウス」をつくって生活している人たちがいる。
水草を集めてできた浮き島の上につくられた家ですね。
舟や筏の上で一家が暮らすというのもテレビで見たことがある。
日本でも昔は、瀬戸内の方で漁船に寝泊まりして生活する人たちがいると聞いた。
定住しない。山の漂白民サンガの海上版のようなものか。
 
そういうのを進化させる、というよりも全く別物。
都市丸ごとを海の上に機能させる。
電気ガス上下水道といった生活インフラをもって、そこで多くの人が働き、暮らす。
もちろんIT環境も整っていて全世界どこにでもアクセスできる。
季節や気候に応じて移動を行い、
その水域の科学調査や養殖を中心とした漁業に携わる人もいれば
東京にいるのと同じようなデスクワークに従事する人もいるだろう。
海底に研究施設や工場を建設する際にその基地となることもあるか。
農作物も家畜も育てて、学校もスタジアムもある。そんな巨大都市。
 
ひとつの大きな都市が海に浮かんでいるというよりも
より小規模に分割されたコミュニティがモジュールとして
時には移動し、時には他と連結し、
その時々の都市の姿を形作っていくことになるか。
 
最小単位は個人が住む舟だろうか。
例えばこういうの。
母体となる都市に大小様々な用途のための港があって、
そこに接岸することで人は仕事をしたり、
スポーツをしたり、町の議会に参加したりするとか。
舟にネットがあるのでどこに浮かんでいてもいいんだけど、
リアルで顔を合わせる必要もあるから
目的を同じくする人たちは集まった方がいい。
出不精の人は同じところにずっと停めたきり、ということもあるだろう。
 
そこでの結婚は舟を半永久的に繋げること。
子供が生まれたら小さな舟を与え、父母の間に繋げる。
成長したら舟も大きくする。
 
物を所有するということは基本なくて、
ネットに接続するデバイスと衣服があるぐらいか。
本も写真もネット上にある。
食べ物も簡単なすぐ食べられるものだけ舟に置いて、
ちゃんとした食事は大きな食堂のような場所を皆で利用する。
 
そんな社会、そんな世界。
陸地に住む人たちとの関係性はどうなのか、
社会階級的にどちらが上ということはあるのか、
などなど考えないといけないことが多い。
 
そういえばケヴィン・コスナー主演の
『ウォーターワールド』って映画があったな。