本棚を運ぶ

妻の友人から本棚をもらうことになっていた。
緊急事態宣言が出てはいるものの、
このタイミングを逃すとなかなか難しいということもあり。
 
昼前ぐらいに家を出て環七へ。
明大前。コインパーキングを探す。
商店街の狭い路地に一台だけの入れにくいのとか。
そんなのばかり。土地を切り売りしてんだろうな。
友人に聞くと杉並区は車に優しくないという。
独身の頃荻窪に住んでいたときには車と無縁だったため気づかなかった。
 
この日、共通テストの1日目。
明治大学のキャンパスも試験会場になるだろうから
もしかして駐車場もいっぱいだったりしないかと思ったが、そうでもなく。
でも昼過ぎに正門前を歩くと受験生たちが大勢歩いていた。
 
友人と3人で昼を食べる。
駅の近くの、以前は昭和の古き良き喫茶店だったのを
居抜きで中華料理にしたと思われる店。
ここは混まないだろうと。
すぐ目の前は鉄道の線路。窓辺の席は窓が開いている。
この日は最高気温19℃だったので、寒くなく良かった。
 
友人の家に戻って本棚を解体。
その前に中に入っていた漫画本を取り出す。
好きなのを持って行っていいということになり、
一条ゆかり『有閑俱楽部』全巻をもらった。
 
解体した後、妻がパーツごとに束にしてビニールテープでしばる。
ただ待ってるのもなんだなと縛り終えたのをコインパーキングまでもっていく。
13時半。2往復目、180cmの縦板を運ぶ。
トランクを開けて積み込む。
毛布を敷くのを忘れていたと広げていたら、ガチャッとロックのかかる音が。
え? でもドアを開けていたし、キーを操作したのでもない。
なんだろう?? と思いつつトランクを閉めて後部座席のドアを開けようとしたら、開かない。
あ、やっぱりロックだったのか。
というか、キーはトランクの中だ……
両手がふさがったまま長い板を運んでいて、地面に落としたり車体にぶつけないよう注意しながら
ポケットからキーを取り出してトランクから助手席へ車内を縦断するように押し込む。
ポケットにキーを仕舞う余裕もなく毛布の脇に置いていた。
しまった。開かない。
慌てて妻に電話する。
えー!? と激怒されて、しかし冷静に家にスペアキーがあるはずだという。
ないならJAFを呼ぶしかない。
 
もちろん僕が行くことになる。
明大前から新宿で乗り換えて光が丘へ。
家に着いて探してみたらあっさり見つかった。よかった。すぐ引き返す。
明大前に戻ったら16時過ぎ。日が暮れ始めていた。
急いでコインパーキングへ。
スペアキーでドアが開いた。よかった……
しかしトランクを開けて本来のキーを探していたら大きな音でブーッブーッと。
えー!? もしかして防犯のブザーが。
俺は泥棒じゃなくて正規のスペアキーなのに。
どうやったら止められるのか。
エンジンをかければいいのか。でもどうやって?
普段全く運転はしないし、初めてのことでテンパった。
その間もずっとブザーが鳴り続けている。
試しにトランクから取り出したキーでロックしてみたら消えた。
助かった……
 
ブザーが鳴り始めた瞬間、びっくりして耳にしていた AirPods を外そうとしたら
慌てて片方落としてしまった。
それを探すのも時間がかかった。
車体の下のどこをみても見つからず。
転がって反対側にまで行ってしまっていた。
 
妻と友人が残りのパーツを台車で運んできた。
車に積み込んで帰る。
JAFを呼ぶことにならなくてよかった。
キーを壊して、また付け替えることになる。いったいいくらかかることになるか……
 
環八経由で帰る。
ぐったり疲れ切ってさすがに何もする気になれず。
マックのドライブスルーに寄って、
家に着いて本棚のパーツを運んだあとでビッグマックとポテトを食べながら缶ビールを飲んだ。
 
なかなか大変な一日だったが、
今日は聞いた話では「天赦日」で「一粒万倍日」でしかも大安なのだと。
めったにない幸運な日。
こんな日だったから、この程度で済んだのかもしれない。