物を捨てる方法

時々断捨離を思い立つが、なかなかうまくいかない。
段ボールひと箱ぐらいなんか捨てるもんないか、
みたいな気持ちで始めるので、
そんなにないなと匙を投げて終わる。
 
ある時ふと思い立って
一度にたくさん捨てることを考えるからよくないのだな、と気づく。
 
一日にひとつずつ何かを捨てる、手放していく、
ただしそれを毎日続けるというのはどうだろう、と考える。
それは消しゴムひとつでもいいし、読まずに終わった雑誌一冊でもいい。
まだ履けるけど古くなった靴下一足でもいい。
 
束になったものはその束の単位でとしたほうがいいだろう。
捨てるものが見当たらない時に付箋を一枚ずつ、
としていたら自分を甘やかすことになる。
元々ごみで捨てるつもりだったものを充てるのもなし。
 
最初のうちは身の回りにあるものが全然変わらないが、
半年、一年、三年と続けるうちにやがて何もなくなっていくだろう。
恐ろしいぐらいに部屋が、家が、すっからかんになる。
 
その記録をつけていってもいいかもしれない。
この日はこれを捨てた、という記録。
最初は何か。最後残ったのは何か。
(という仕立ての小説も面白いかもしれない。
 ただそのリストだけで人生の起伏を伝える)
 
それを写真で行ってもいいかもしれない。
固定カメラで部屋の入り口を撮影する。一日一枚。
何も変わらないという日がずっと続くかもしれないが、
ある日突然、映画のポスターが、テーブルが、消える。
それを動画にする。
コンセプチュアルアートとしてありかもなあ。
 
当たり障りのないものから始まって、
最後は思い出の詰まったものとなるだろう。
それを捨てることができるかどうか。
ここまで続けてきたのに、断念していいのかという葛藤。
なかなか面白いことになるんじゃないか。
僕が売れない Youtuber だったらそういうことをやる。