『リコカツ』と『大豆田とわ子と三人の元夫』

昨晩、食事時に特に見たいテレビ番組がなく、
妻が録画していたドラマを見たいという。
『リコカツ』と『大豆田とわ子と三人の元夫』
それぞれ別の友人のお薦めで、初回は既に見ているという。
『リコカツ』は2話目、『大豆田』は3話目だったか。
 
『リコカツ』は北川景子永山瑛太が主演。
北川景子は大手広告代理店OBの娘、
出版社で編集の仕事だが最近挫折があったようだ。
永山瑛太は古き良き昭和の家に生まれ育った
海上自衛隊のエリートゆえに視野の狭い自衛官
本来出会うはずのない二人がひょんなことから結婚してしまったが、
すぐ過ちに気づいて離婚しようとするも
なかなかそれもスムーズに進まない。
北川景子永山瑛太を疎ましく思うが、
北川景子が危機的な状況に陥ると
永山瑛太はまだ夫なのだからと彼女を守ろうとする。
そのドタバタを描くコメディー。
 
都合よすぎる偶然の連続で物事が進んでいって
あれよあれといううちに普通ならあり得ない展開へ。
前半30分ぐらいまでは
「こんなくだらないドラマ見てられっか!」と腹が立っていたが、
終わる頃にはこのバカさ加減が癖になってきて爽快。
いや、コメディードラマって
元々こういう荒唐無稽なものだったよなー。
確かにこれは面白い。
 
しかしこの2人、お互いの愛を再確認して
離婚を撤回するというハッピーエンドが
分かりやすいぐらい見えてるんだけど、
あと7・8回何やるんだろ?
いや、とんでもないどんでん返しが待ってるのか?
 
『大豆田とわ子と三人の元夫』もまたその名の通り、
3人の元夫を巡るすったもんだ。
そこに市川実日子石橋静河といった一癖も二癖もある脇役が絡んでくる。
 
脚本が『東京ラブストーリー』や『カルテット』の坂元裕二
東京ラブストーリー』が1991年なのでもう70ぐらいの方なのかと思いきや、
23歳の時の脚本なのだと。
今年53歳で僕と7つしか違わないということが分かった。ひぇー! 
脚本はもはや一級の芸術品。
冷徹な人間観察と秀逸なキャラクター設定に基づく
鋭いセリフのオンパレード。
そこになさそうでありそうでなさそうな設定を重ねて
妻曰く「大人のおとぎ話」を描く。
 
でも、演出とプロデュースが普通かな。
最後の主題歌、ストリートラッパーと3人の元夫のラップはかっこいいのに、
後半は松たか子がここぞとばかりに歌い上げる。
こういうところの予定調和が昨今言われているような
フジテレビの低迷を招いてるんだろうな。たぶん。
これがTBSだったらもっと切り込んでくるだろう。
『カルテット』のときのように。
え? 松たか子に歌わせないの? と思わせておいて
最終話で思いっきり歌わせるとか。
それぐらいしてもいいんじゃないか。
 
『大豆田』は本来面白いはずがどっちつかず。
他にもありそうなスタイリッシュな作品にとどまっている。
『リコカツ』は王道すぎてご都合主義的で
本来つまらないはずが、吹っ切れていて痛快。
個人的には今、そんなところ。