先週買ったCD #36:2021/06/14-2021/06/20

2021/06/14: www.amazon.co.jp
Natalia Lafourcade 「Hasta La Raiz Edicion Especial」 \2143
 
2021/06/14: diskunion.net
山崎まさよし 「The Road to YAMAZAKI ~ the BEST for beginners ~ [SOLO ACOUSTIC]」 \580
Fugazi 「Steady Diet of Nothing」 \680
※リマスター盤かどうかわからず、買い直し
 
2021/06/14: www.hmv.co.jp
四人囃子 「Ride on See-Saw」 \6600
Iggy Pop 「1977 - The Bowie Years」 \12650
Fleetwood Mac 「Live Dluxe Limited Edition」 \11197
 
2021/06/14: www.hmv.co.jp
Legend オブ伝説 a.k.a. サイプレス上野 「LENGEND オブ P-VINE 日本語ラップ MIX」 \420
 
2021/06/14: www.amazon.co.jp
Keren AnnKeren Ann」 \700
Keren Ann 「Not Going Anywhere」 \1080
 
2021/06/15: www.hmv.co.jp
佐野元春 「MOTOHARU SANO THE COMPLETE ALBUM COLLECTION 1980-2004」 \38150
 
2021/06/15: www.amazon.co.jp
Zap MamaZap Mama」 \58
Pop Will Eat Itself 「The Best of PWEI」 \700
 
2021/06/16: diskunion.net
※商品に不備があって買い直し
 
2021/06/16: www.hmv.co.jp
サザンオールスターズ 「綺麗」 (\2305)
Superfly 「"Love, Peace & Fire" - Special Edition - 」 (\2530)
山崎まさよしFM802 Live Classics」 (\2343)
Leonard Cohen 「Live Songs」 (\1518)
Creedence Vlearwater Revival 「Willy and the Poor Boys」 (\2121)
HMV のポイントで
 
2021/06/16: www.hmv.co.jp
Imogen Heap 「I Megaphone」 \330
Imogen Heap 「ICON」 \850
 
2021/06/16: www.amazon.co.jp
Hanne Hukkelberg 「Rykestrasse 68」 \93
 
2021/06/17: diskunion.net
荒井由実YUMING BRAND」 \1700
浅川マキ 「こんな風に過ぎて行くのなら」 \4450
浅川マキ 「闇の中に置き去りにして ーBLACKにGOODLUCK-」 \3850
bvdub 「Resistance Is Beautiful」 \582
 
2021/06/17: www.amazon.co.jp
Frou Frou 「Details」 \300
Meat Puppets 「Huevos」 \1300
※リマスター盤を買い直し
 
2021/06/18: www.amazon.co.jp
Zap Mama 「Ancestry In Progress」 \1
 
2021/06/18: www.amazon.co.jp
Roberto & Gaby Casadesus 「French Piano Music for Four Hands」  \300
 
2021/06/19: diskunion.net
Imogen Heap 「Eclipse」 \480
Buffalo Springfield 「Last Time Around」 \880
※商品不備があって買い直し
 
2021/06/20: diskunion.net
Meat Puppets 「Meat Puppets II」 \580
 
2021/06/20: www.hmv.co.jp
Creedence Clearwater Revival 「Cosmo's Factory」 (\2101)
Tal Farlow 「Plays the Music of Harold Arlen」 (\1980)
Erykah Badu 「Worldwide Underground」 (\440)
HMVのポイントで
 
2021/06/20: www.hmv.co.jp
Imogen Heap 「Speak For Yourself」 \330
 
---
bvdub 「Resistance Is Beautiful」
 
昨年の今頃、友人が facebookinstagram で紹介していた
中国で活動しているアメリカ人アーティスト bvdub の新作。
パッケージには毛筆による手書きで一文字、
それぞれ異なる漢字が書きこまれている。
それをつなげると一つの詩になるという。
313枚限定のCD-R。つまり、313文字の詩。
それは面白いとさっそく僕も取り扱っていた
LINUS RECORDS というところでオーダーしてみた。
 
薄手の茶色い厚紙で、
裏面には糸を巻く平たいボタンが上下に2カ所。
昔の書類入れのよう。
表面に書かれていたのは『前』か『荀』か。
達筆過ぎて分からず……
挟まれていた紙には中国人の書家の名前が記されていた。
CD-Rに焼くのも含めて、これら全てハンドメイドだという。
 
後日、LINUS RECORDS よりメールが来た。
購入者がジャケットを写真に撮ったのを集めて
本来の詩を形作った一枚の写真にするのを bvdub が望んでいると。
おー、それはいいと僕もすぐ写真を撮って送った。
そういえばあれはどうなったのだろうと
レーベルの bandcamp を見てみたが特に発表はされていなかった。
なかなか全部集めるのは難しかったのだろう。
でもこれはとても素敵な試みだと思った。
 
「Burn Back Time」というタイトル。
全4曲入りで、78分という大作。
北欧の大地にオーロラのかかるような、壮大にして幽玄なサウンドスケープ
儚い美しさに満ち溢れた、この世ならぬ別世界を垣間見せてくれる。
長い冷凍睡眠に入った Cocteau Twins とでもいうか。
決して醒めることのない眠りに就いていても、その心臓は緩やかに脈を打ち続ける。
美しくも、どこかに絶望がある。
希望はある、なのにそれはひどく遠いところにある、というような。
聞き返すたびに違う風景が見えてくる。いや、違う夢か。
聞き込むほどにその素晴らしさが伝わってくる。
最初僕はわからなかったが、今は名作だと思っている。
 
ところどころ男性ヴォーカルや女性ヴォーカルが入るんだけど
何を歌っているのだろうと気になった。
313文字は関係するのだろうか。
 
この bvdub という方はすごい多作なようで、discogs を見てみたら
2007年から今に至るまで、40枚近いアルバムを発表していた。
もしかしたら discogs でも全て情報が網羅されていないかもしれない。
DiskUnion でいくつか見てみると
アルバムによってはリズムが強調されていたり、ギターが導入されていたりという
違いがあるようだけど、
正直、 この手の音楽に明るくない僕には違いがそんなに感じられないだろう……
 
今回入手した「Resistance Is Beautiful」も大きくは変わらない。
こちらもCDの収録時間目いっぱいの5曲。
往年のブライアン・イーノを思わせる幾何学的なアンビエント・ドローンに始まって、
徐々にリズムを前面に打ち出したダンスミュージック的盛り上がりへ。
反復するビートのずれが展開を作っていく。
しかしその中にレジスタンス、とあるだけに性急な澱みのようなものが感じられる。
「Burn Back Time」よりも10年近く昔の作品だけあって
こちらの方は人工的な感触がまだ色濃い。
風景というよりも、街並み。
ジャケットにはパーカーを着て俯いて、顔が全く分からない長い髪の女性の姿。
ホラー映画や心霊写真のような怖さ。
 
中国の紹興市在住だという。紹興酒紹興
地図を見たら東シナ海に面していた。
浙江省杭州市が近い。
 
---
Imogen Heap 「Speak For Yourself」
 
数年前、テーマを決めて選曲して聞いてもらうというイベントを
何回か開催したことがあった。
その初回が『女性シンガーソングライター入門』
フィオナ・アップルやシーアへと至るという流れ。
LGNTQ+ の世の中では言いにくいことだけど、
僕が一番好きなジャンルは女性シンガーソングライターなのだと思う。
 
先日、二子玉川に行ったときに高島屋紀伊国屋書店に入ったら
レコードコレクターズの増刊で『女性シンガー・ソングライターの系譜』
というのが出ていた。監修が渡辺亨なので間違いないだろう。
迷わず買って家に帰ってすぐ読み始めた。
ざっと見たところ、取り上げられたアルバムの半分は持っていたのでホッとした。
しかし、中南米・北欧・R&Bもカバーしているので
全然知らないというアーティストも結構多かった。
恥ずかしながら最近話題の
ベッカ・スティーヴンスやフィービー・ブリージャーズを僕は知らなかった。
 
そんな中でイモージェン・ヒープの名前を見かける。
変わった名前なのでどこかで聞いたことがあるような気がするが、
聞いてみようと思ったのはこれが初めてだった。
紹介されていたアルバムは2作目の「Speak For Yourself」
しかしこれは国内盤の入手がかなり難しいようで、
amazon を見てみると
状態のよくないレンタルアップ品を除くと5万を超える値段がついていた。
他のアルバムは国内盤の中古が数百円程度。
何かとても気になって一気に買い揃えてしまった。
・1作目「I Megaphone」(1998)
・別ユニット Frou Frou の1作目「Details」(2002)
・3作目「Ellipse」(2009)
・廉価版ベストアルバムのシリーズ「Icon」
(2010 なぜか「I Megaphone」「Details」の曲を半分ずつ収録)
 
スコットランド出身、解説を読むと
その変わった名前にはケルト語の『母』という意味があるようだ。
矢井田瞳が大ファンになって日本のコンサートに招かれて客演している。
(そのときのライヴアルバム「Music Pool 2002」に
 1曲収録されていて、今取り寄せている)
基本は寡作、ミュージシャンズミュージシャン的立場のようで、
テイラー・スウィフトの大ヒット作「1989」でも1曲共同プロデュース。
ハリー・ポッターと呪いの子』のサントラも手掛けている。
 
何ともつかみどころのない音楽、というのが
1作目「I Megaphone」を聞いた時の印象だった。
特徴的な声ではないし、この人ならではの曲調があるわけでもない。
アコースティックな曲もあればプログラミングが主体の曲もある。
強いて言えばノイジーで暗めのアラニス・モリセットか。
しかし、なんかある、この人にはある、と思わせるものがあった。
それが何なのかはいまだにわからない。
それを感じ取れる人、波長の合う人はごく少数なんじゃないかと思う。
 
2作目の「Speak For Yourself」も結局、輸入盤の中古で買った。
いつもなら国内盤が出てくるまで気長に待つんだけど、
居ても立ってもいられなくなった。
聞いてみて確信する。
確かにこのアルバムが群を抜いていい。
この人の持っているものって、聞き手に対して
その人にしかわからない暗号を送ってきて来ているような
ある種の寂しい親密さの感覚なのだな、という気がした。
 
「Speak For Yourself」は ”Hide and Seek” という曲が有名で、
日本でも放送されたアメリカの青春ドラマ『The OC』で使われたのだという。
コンピューターで変調された、歪められた声が
かえって生々しい声を、その物寂しさを感じさせる。
僕や君のひとりぼっちを表した曲として、
多くの人に忘れられない印象を残したであろう。
 
この世に存在する楽器、
それまでこの世に存在しなかった音を組み合わせて
このアルバムだけの音の世界を、
不用意に近づいたら壊れそうになる世界を形作る。
ダンスビートもかきむしるギターも、
真夜中の窓を濡らす雫の音も、全てが等価にひとつの曲を形作る。
美しく、儚い。
イモージェン・ヒープと、聞き手の僕や君しかいない世界。
ここまで純粋な、吸い込まれそうになる孤独、
聞いたのは何年ぶりだろう。
現実の血の流れることのない、想像上の傷跡だらけの音楽というか。
 
女性シンガーソングライターの名盤10枚選べと言われたら
僕はこれから先、必ずこのアルバムを選ぶ。
死の一歩手前、生と死の間の虚ろな時間と空間って
こんな感じなのだろうと思う。
 
しかしそれも僕が、彼女の音楽と波長の合うごく少数派の人だから、
という気がしないでもない。