先週買ったCD #82:2022/05/02-2022/05/08

2022/05/02: tower.jp
iri 「neon 初回限定盤」 \3960
Red Hot Chili Peppers 「Unlimited Love」 \2860
Bon Iver 「Bon Iver, Bon Iver 10th Anniversary Edition」 \2640
Sonic Youth 「In / Out / In」 \2640
 
2022/05/05: diskunion.net
Pink Cloud 「Bootleg」 \1700
Coil 「musik to play in the dark2」 \1980
 
2022/05/06: tower.jp
ZARD揺れる想い」 (\3204)
タワレコのポイントで
 
2022/05/06: BOOKOFF 西台高島通り店
No Doubt 「The Beacon Street Collection」 \290
 
2022/05/06: www.hmv.co.jp
Asian Kung-Fu Generation 「未だ見ぬ明日へ」 \297
Asian Kung-Fu Generation 「ソルファ(2016)」 \297
 
2022/05/07: www.amazon.co.jp
The Woodentops 「The BBC Sessions」 \780
Nouvelle Vague 「Nouvelle Vague Presents New Wave」 \446
 
2022/05/07: tower.jp
Ministry 「Twelve Inch Singles 1981-1984」 \3481
 
2022/05/07: diskunion.net
Nocturnal Emissions 「Viral Shedding」 \3450
 
2022/05/08: www.hmv.co.jp
<b>Moe and ghosts 「幽霊たち」 \1170</b>
 
2022/05/08: www.amazon.co.jp
<b>Cornell Dupree 「Saturday Night Fever」 \1340</b>
 
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Sonic Youth 「In / Out / In」
 
10年ぐらい前まで、一番好きなバンドはと聞かれると
Sonic Youth と答えていた。
青春と言ってもいい。
フジロックも含めて5回以上は見ていると思う。
学生時代、今はなき新宿コマ劇場裏の Liquid Room のイベントで
Sonic Youth が出るというとき、開場前に外で時間をつぶしていたら
ドラムのスティーヴ・シェリーがプラプラと歩いていた。
見つけた先輩がすかさずサインを求め、スケッチブックに書いてもらった。
1秒ぐらいでさらっと書いたものだけど、今となっては家宝。
 
最初に聞いたのは1990年、メジャーデビュー作の「Goo」
rockin'on などでその名前は知っていた。
グランジブームの立役者、NYアングラの帝王、
Nirvana や Dinasour Jr. の先輩という位置づけだった。
学校の帰り、サンロード青森の中にあった be-bop でなけなさの小遣いをはたいて購入。
1曲目の「Dirty Boots」のぶっ壊れたかっこよさに
当時16歳で津軽弁しかしゃべれなかったオカムラ少年は完全にノックアウトされた。
 
上京して HMV / タワレコ / Virgin Mega Store / DiskUnion / RECOfan などで
過去のインディーズ時代の輸入盤を見つけては購入した。
ちょっと怪しげな出どころのライヴアルバムなんかも喜んで。
長い間探し続けて、
入手困難だった「Walls Have Years」(1986)や 1st アルバム(1982)の再発を
見つけられたときはとても嬉しかったな。
 
1981年、ニューヨークで結成。
現代音楽家グレン・ブランカの演奏グループで
サーストン・ムーア、キム・ゴードン、リー・ラノルドが出会う。
ドラムが何人か交代したのちにスティーヴ・シェリーに決まる。
インディーズで活動したのち、80年代の集大成となる大作
「Daydream Nation」(1988)を発表、メジャーのゲフィンレコードに移籍。
「Goo」「Driry」と充実したアルバムを出し続ける。
一方で「SYR」シリーズで実験性の高い音源も発表するなど
変名ユニットを含めると全貌を掴むのが困難なぐらい膨大な量のリリースがある。
メンバーそれぞれがアートの分野やインディーズロックのキュレーター、目利きであって
アメリカ内外、ロック内外のアンダーグラウンド・オーバーグラウンドをつなぐ結節点となった。
 
2009年の「The Eternal」を発表したのち、解散。
NYノイズ・ジャンク界のオシドリ夫婦とされていたサーストン・ムーア、キム・ゴードンが離婚。
あれはちょっとショックだったな。解散以上に……
 
先日突然発売された「In / Out / In」はこの「The Eternal」の頃の
未発表音源であるようだ。
それもあって「The Eternal」も聞き返す。
Sonic Youth の音を一言で言うならば、
知的にコントロールされた、内に秘めた暴力衝動がアートに昇華される瞬間というか。
情報量が多いのに、彼らにしてはストレートなロックンロールがこのアルバムでは展開される。
澱みがなく弛みがなく。密度が濃い。
ギター2本、ベース、ドラム、サーストン・ムーアとキム・ゴードンの声。
これはアメリカのギターロックのひとつの到達点だなと改めて思う。
 
その純度の高さをもたらしたのは
実験的な要素を「In / Out / In」など
「The Eternal」の外部の音源にどんどん吐き出していったからだろう。
「The Eternal」もかなり実験的な作品だが、骨格がはっきりしている。
その中核となる方向性からはずれた演奏が膨大なテープに残されていて
その一部が「In / Out / In」にて発表されたのだと思われる。
 
「Daydream Nation」の無駄のなく鋭い、充実した音の連続も
同時期の「Chiccone Youth」にジャンクな部分を振り分けたから確立できたのだろう。
(チッコーネとはマドンナの本名で、マドンナのカバーなんかも入っている)
その関係性によく似ている。
 
「In / Out / In」は恐らくジャムセッションを切り取った、漂うようなギター、ベースの曲に始まって
アメーバのようなノイズが続く曲もある。
未発表曲だから本編のアルバムよりも質が劣るということはない。
コインの裏と表、両方あってこその Sonic Youth なのだと思う。
どちらの側にも同じぐらい、ロックの未来に関する可能性が満ち溢れている。