先週買ったCD #56:2021/11/01-2021/11/07

2021/11/01: www.amazon.co.jp
(V.A. Starbucks) 「sundown music for unwinding」 \638
※以前購入したのが取り込みできずで再度買いなおし
 
2021/11/01: tower.jp
R.E.M. 「New Adventures In Hi-Fi 25周年記念エディション」 \3850
Paul Butterfield Blues Band 「The original Lost Electra Sessions」 \2200
Simply Red 「Remixed Vol.1 (1985-2000)」 \3141
 
2021/11/01: www.hmv.co.jp
Special Others 「Good Morning」 \297
Dragon Ash 「The Best of Dragon Ash with Cahnges vol.1」 \297
Dragon Ash 「The Best of Dragon Ash with Cahnges vol.2」 \396
 
2021/11/03: BOOKOFF 練馬光が丘店
電気グルーヴ 「recycled A」 \290
チャットモンチー「誕生」 \290
キノコホテル 「マリアンヌの憂鬱」 \510
 
2021/11/04: www.hmv.co.jp
Asian Kung-Fu Generation 「サーフ ブンガク カマクラ」 \297
Asian Kung-Fu Generation 「Feedbackfile」 \297
Asian Kung-Fu Generation 「The Recording at NHK CR-509 Studio」  \990
 
2021/11/05: diskunion.net
Martha Wainwright 「Martha Wainwright」 \380
Martha Wainwright 「Martha Wainwright's Piaf Record」 \300
Cocteau Twins 「Lullabies To Violaine Volume 1」 \2650
 
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R.E.M. 「New Adventures In Hi-Fi 25周年記念エディション」
 
80年代にカレッジロックの雄と呼ばれた
(全米に散らばる大学のラジオ局のネットワーク)
R.E.M. が90年代の半ば、
世界一のロックバンドに登り詰めた瞬間があったように思う。
 
いくつかの側面がある。
Nirvana に代表されるグランジオルタナの精神的父として
90年代前半に再評価されるが、
そのカート・コバーンが1994年に若くして自殺したことで
息子たちの苦しみとしてのアメリカの闇を背負う気になったのではないか。
レッチリの『Californication』が1999年に出るまでの間、頼れる兄貴を引き受けた。
(もちろん、アメリカの優れたバンドは 
 というわけではなくてあくまで図式として)
 
あるいは、音楽的な成熟を高めていって
1991年の「Out Of Time」で自身初の全米1位を獲得(Billboard 200)、
(当時の rockin'on の記事ではロックのアルバムが1位を獲得するのは
 数年ぶりだったと書いてあったように思うが、今はその裏が取れず)
グラミー賞でもアルバム、シングルで合わせて3部門の受賞となったこと。
次作、1992年の「Automatic For The People」を彼らの代表作と捉えるファンも多い。
この頃の彼らに匹敵するほど充実した歩みを続けていたバンドは他にあっただろうか?
例えば U2も「Actung Baby」が1991年、「ZOOROPA」が1993年と
ひとつのピークを終えつつあった。
 
彼らは続けて、1994年に「Monster」を発表。
1989年の「Green」に伴うワールドツアーを最後に
「Out Of Time」以後ライヴ演奏から遠ざかっていた彼らは
1995年、実に5年ぶりに全米を回るツアーを行う。
その際に移動可能なレコーディングスタジオを同行させ、
行く先々で曲を書き、録音していったのが
この1996年の「New Adventures In Hi-Fi」
旅のスナップショットを集めたアルバム、
(ジャケットに移る荒野は解説に寄ればネバダ州のハイウェイで、
 ロズウェル事件でUFOマニアから知られるエリア51の近くだという)
ロードムーヴィーに例えられるアルバムとされる。
その道中には様々な不都合や不自由があったと推測する。
 
その情報を与えられて聞くからか、
移ろい行く無常のようなものがアルバム全編に感じられて
僕個人としてはこのアルバムが彼らの最高傑作だと思っている。
最新鋭のスタジオにじっくり腰を据えてきっちり作り込んだアルバムを出すのではなく、
この世界で最高のデモテープをポンと放り出す、
永遠の未完成を世に問うというスタンスがいい。
 
しかし、同じく僕個人としては R.E.M. はここまで。
その後のアルバムも素晴らしい出来なのはわかっているけど全然聞かない。
彼らも成熟しきってワクワクしなくなったというか。
オリジナルメンバー4人だけでやってきたのが、
ドラムのビル・ベリーが1995年のツアーの途中で脳の病気を患い、
「New Adventures In Hi-Fi」を最後に友好的に脱退したというのも大きいだろう。
彼らの長かった青年期はここで終わった。
 
シングルとなった”E-Bow The Letter”にはパティ・スミスが参加している。
今回購入したのは25周年記念エディション。
これまでのアルバムはどれもそのタイミングに合わせて
2枚組のデラックスエディションで再発されてきた。
2枚目の内容はその時のライヴだったり、デモだったりで内容が異なる。
今回はB面局などを集めたもの。ライヴ音源やリミックス。
前作「Monster」の収録曲だった”King of Comedy”を 808 State がリミックスしていた。
グレン・キャンベルの”Wichita Linema”のカバーもあった。
 
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Simply Red 「Remixed Vol.1 (1985-2000)」
 
80年代、90年代を代表する英国のブルー・アイド・ソウルのグループということになるか。
(そのキャリアの後半はヴォーカル、ミック・ハックネルのソロとなるけど)
僕も20代、30代の頃はその良さがわからなかった。
ウェルメイドなラブソングを時にはポップに、時にはしっとりと歌う。
今はその落ち着いた雰囲気がとてもしっくりくる。
自ら書く曲もいいし、カバーもいい。
艶っぽい声がいい。というか歌がうますぎる。
演奏、アレンジもこなれている。
秋の夜長にウィスキー片手に聴くのにちょうどいい。
1991年の『Stars』や1995年の『Life』といった代表作がある。
 
(特にアメリカの)ソウルへの憧れ。
それを極限まで突き詰めて独自の音楽的な高みに至った、という点では
英国ではシャーデーと並ぶ存在だと思う。
向こうでは国民的な人気を誇るけど、ここ日本ではそうでもない。
そこそこ売れた、というぐらいなのかな。
この手の洋楽に詳しい人なら誰でも知ってるけど普通の人は知らない、というような。
 
解散・再結成を挟みつつも今もコンスタントに活動しているようで
先月このリミックス集が出た。
vol.1 ということは21世紀に入ってからの vol.2 もいずれ出るのだろう。
2枚組で、1985年のデビュー作「Picture Book」の”Money's Too Tight”から
1999年の「Love and the Russian Winter」に収録された
”Ain’t That a lot of Love” まで、ほぼ全てのシングルのリミックスを1曲ずつ
年代順に収録している。
彼らの代表曲のひとつ、”Holding Back the Years” は
バラードなのでさすがにここにはないが。
というかあのオリジナルのバージョンが完璧すぎるのだと思う。
切なくてやるせなくて。
 
もちろんこのアルバムも悪いわけがなくて。
原曲の良さをうまく引き出したり、言い換えたりしている。
80年代後半の洋楽のミニアルバムって
来日記念盤とかでよくひとつの曲のバージョン違いばかりたけど入ってたけど、
その多くが 12" Mix とか Extended Version とかで
ただただ同じリズムパターンを無理やり繰り返しているだけ、
水増ししているようでつまらなかった。そんな記憶がある。
ディスコというよりもユーロビートの時代だったからだろうか。
(僕が若すぎてよくわかっていなかったというのも否めないが)
 
そういう引き伸ばしリミックスはひとつもない。
有名なところでは アーサー・ベイカー や Masters At Work など。
なぜか、元 Public image LTD. のジャー・ウォブルの名前も。
意外と仲がいいのだろうか。年代は恐らく近いだろうけど。
ミック・ハックネルもこの時代の人らしく、
70年代後半のパンクに影響を受けてバンドを始めている。
よく見たらサトシ・トミイエやポール・オークンフォールド、P.M.DAWNも。
 
リミックスを手掛けた人たちが全然バラバラなのに
この2枚組にしっかりとした統一感が感じられるのは
ミック・ハックネル自身がリミックスしている曲もいくつかあるから、というだけではない。
リミックスを施した側が曲の良さを引き出したのと同様に
曲の方がリミックスする側の良さを引き出したというのもあるだろう。
Simply Red の曲の骨格がしっかりしているので
そこにうまく入り込んでそれぞれの良さを出していくというような。
 
リミックスもいいけど、一番聞きたいのは
「Stars」のスペシャルエディションに収録されていたような、この頃のライヴ音源かな。
全盛期のコンサートを丸々収録したライヴアルバムをいつか出してほしい。
 
しかし、この作品、とてもいい内容なのに国内盤出ないのだろうか。