すた丼早食い競争

来週末、妻の後輩ちゃんと3人で国立散歩ということになった。
大学通りを南へ、谷保天満宮まで行って引き返すことになるか。
その間、韓国茶の店や古着屋に寄ったりするだろう。
昼はまあロージナ茶房でビーフストロガノフかな。
半ば冗談で「すた丼」のリンクも送ったが、当然スルーとなった。
すた丼早食い競争について触れても、スルー。
 
一橋大学の学園祭、一橋祭は11月の文化の日の頃に開催され、
そのイベントのひとつに運動会があった。
その目玉種目がすた丼早食い競争。
今でこそ全国展開する「伝説のすた丼屋」も僕らが大学生だった90年代には
先代のおやじさんが自分が面倒見れるのは3店舗だけだとして
国立に2店舗、国分寺に1店舗の知る人ぞ知る店だった。
しかし、にんにく醤油で豚肉と少々のネギを炒めて生卵を乗せただけという丼は
なんともジャンクで、金のない僕らは何かにつけてすた丼を食べに行っていた。
 
今は違うが、当時の大盛はラーメンのドンブリいっぱいにご飯を詰め込んだもので
このすた丼大盛とラーメン大盛を一度に食べると
壁に短冊を貼って名前を残すことができた。
各サークルに一人ぐらいはこの偉業を達成した伝説の先輩がいた。
 
僕らにとって、すた丼とは生活の一部であり、文化だった。
国立という町に根付いていた。
何代上の先輩に話を聞いても、すた丼? あったよ、という話になる。
70年代には既にあったと聞いたことも。
すた丼早食い競争もまた、何十年という歴史があった。
 
……とここまで書いてきたが、
僕は映画サークルの上映で多くの時間を暗幕を貼った教室の中にいたので
残念ながら参加どころか見たこともなかった。
 
パンク食い競争のすた丼版と思えばいい。
もちろんトラックで行う。
確か30mほど走った先にテーブルが置いてあって
その上にすた丼の入った発泡スチロールの容器が。
それを食べきってまた走ってゴールする。
もちろんすたどんの店が何十食も出前していた。
 
ガタイのいい体育会系の猛者が多く出場していたが、
僕らの頃は応援部が強かった。毎年優勝者を出していた。
一年生の部員は全員強制参加じゃなかったかな。
強制しなくても3年生も4年生も喜んで出ていた。学ランを着て。
 
僕が2年か3年だった時、
一橋寮在住の応援団の同期か先輩が優勝したことがあって
それがぶっちぎりの速さ。
1分を切るどころか、40秒か50秒を切ったんだったか。
どんぶり飯をですよ?
噛んで食べてたら間に合わないからととにかく喉の奥に流し込んだという。
割り箸を使うのもチマチマと時間のかかるので手づかみで。
「すた丼は飲み物だよ」という名言を残した。
多分今も破られてないと思う。
 
さすがに今はやってないか、と思っていたらなんとまだやってそう。
一橋祭実行委員会の tweet にこんなのがあった。
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【一橋運動会について】
悪天候につき、一橋運動会はすた丼早食い競争のみとなります。
11:00より開始いたしますので、出場者の皆さんは10:45に兼松講堂前までお集まりください。
飛び入り参加の方は10:30から同じく兼松講堂前までお越しください。
午前9:42 · 2019年11月22日
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あ、一橋祭実行委員会のブログを見たら公式記録(?)として残っていた。
37秒とのこと。人間業とは思えない。
 
すた丼は飲み物にして、文化です。
そして僕らの青春でした。