藤子不二雄A先生、逝去

藤子不二雄A先生が昨日亡くなられた。
88歳であったという。
そういえば最近見かけないな、とは思っていたが……
ご冥福をお祈りします。
 
藤子不二雄世代ど真ん中。
少年時代よりSF(すこしふしぎ)が好きな僕の心は常に藤子・F・不二雄にあった。
しかし、思春期を過ぎて大人が近づいてくると藤子不二雄A先生の方も気になりだしてきて。
プロゴルファー猿』のゴツゴツとしてアクの強い感じ、『ブラック商会変奇郎』の骨董趣味。
そして『笑ゥせぇるすまん』のブラックユーモアと風刺、アングラとエロス。
藤子不二雄先生は二人ともアナザーワールドを描いていたと思う。
それが藤子・F・不二雄だとSF的な世界であって、
藤子不二雄A先生だと地下の闇世界というか。
 
コンビ解消が1987年。
僕は12歳だった。
あれは自分の人生にとって一つのショッキングな出来事だった。
当時は今では考えられないぐらい離婚というものがタブー視され、
今ほどは大っぴらにできないという雰囲気があった。
よほどのことであった。
そのために離婚するのであれ、踏みとどまるのであれ、
世の中の大人たちの多くが耐え忍んでいた。
 
その後、テレビ番組の『ギミア・ぶれいく』によく出ていた。
司会の大橋巨泉がその放送初日、
「あちら(藤子・F・不二雄先生)は良い先生、
 こちら(藤子不二雄A先生)は悪い先生」と紹介していたのを思い出した。
人間性の話ではなく、ゴルフや麻雀といった大人の遊びが好きで、
大橋巨泉の近くにいたから、ということだろう。
僕は中学生になったばかりの頃、
あの番組の中で放送された『笑ゥせぇるすまん』のアニメが
人生で最初に、本格的に出会った大人向けの漫画だった。
 
個人史であれ、社会史であれ、
歴史の流れ、絡み合いというものへの視点のある方だった。
『劇画 毛沢東伝』は読もう読もうと思って読まないままで来た。
『愛…しりそめし頃に』も読み返したい。
晩年のエッセイも手つかずだったのを読もう。