2022/04/12: diskunion.net
Ry Cooder 「Get Rhythm」 \980
J.J.Cale 「Naturally」 \4450
Ken Yokoyama 「Best Wishes」 \385
Radwimps 「君の名は」 \357
尾崎豊 「約束の日 vol.1」 \231
尾崎豊 「約束の日 vol.2」 \231
斉藤和義 「Fire Dog」 \231
椎名林檎 「私と放電」 \231
古内東子 「Dark Ocean」 \231
槇原敬之 「The Concert」 \231
Swing Ous Sister 「The Best of Swing Ous Sister」 \110
※閉店セールで550円以下のCDが3割引きだった
2022/04/16: JANIS2
Jill Scott 「experience: jill scott 826+」 \850
Kathleen Edwards 「Live from The Bowery Ballroom」 \400
2022/04/16: diskunion.net
タバタ ミツル 「Get The Car」 \880
(V.A.) 「Island Vibes - Reggae + Dub Classics」 \480
2022/04/17: diskunion.net
Etron Fou Leloublan 「les sillons de la terre」 \1746
Boards of Canada 「Hi Scores」 \562
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Ry Cooder 「Get Rhythm」
米国随一のギター、特にスライドギターの名手という意味でもそうだし
(60年代末、ソロデビューの前に既にキャプテン・ビーフハートからストーンズまで
様々なセッションをこなしている。70年代以後も変わらず)
彼がいなければアメリカーナと呼ばれるルーツ・ミュージックも
今とは違う形になっていたかもしれない。
彼はテックスメックス、ハワイアン、沖縄、戦前のジャズ、様々なジャンルの音楽を
そのソロアルバムを通じてロックのフィールドに紹介した。
もちろんどれも彼が最初に紹介したというわけではないが、
最良の翻訳家だったことは確かだろう。
彼は古い、古くさいとされた音楽に対して
回顧主義や原理主義のスタンスで臨むことはなかった。
全てが今、目の前にある音楽だった。
フォークもカントリーもブルースも全ての音楽が彼の中では等価なものとして
解釈され、演奏された。現代という時間軸に現前させた。
その本質をつかむのがうまかったから、
彼の演奏もまた数十年経っても古びることはなかった。
つまり、その曲では、そのジャンルでは、
ギターの音がどう鳴るべきかを皮膚感覚で知っていたということ。
時代に合わせる必要がなかった。
そんな彼の音楽は玄人向きであって全く売れるわけがなく
80年代以後は主にサントラの仕事で糊口をしのいだ。
それがサントラの最高峰『パリ、テキサス』のスライドギターを生むことになる。
音楽の目利きとしての力量はアメリカ国内にとどまらず、
アフリカやインドなど第三世界の音楽に対しても発揮された。
キューバ音楽の生き証人たちとセッションした
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は映画にもなり、世界的にヒットした。
この手のルーツミュージックは20代の頃、全然聞けなかったのに
ライ・クーダーだけは普通に聞けた。
アナログな素材をデジタルに編集する手際の良さが心地よかった。
何十年も前の写真が最新の技術で色鮮やかに蘇るというような。
2007年に70年代のアルバムが紙ジャケ・リマスターで再発されたとき、
代表作の「Paradise and Lunch」や「Chicken Skin Music」を買い漁った。
しかし、2009年に80年代の作品が同様に再発されたときは
70年代の作品ほど評価されてないようだしと見送り。
最近になってライ・クーダーがよくテレビで使われていることに気づく。
六角精児の『呑み鉄本線』にて
「Chicken Skin Music」(1976)収録の ”I Got MIne” がよく流れるとか。
ああ、いいなあと思ううちに他の作品も買い揃えたくなった。
Disk Unionで中古が入荷するたびに少しずつ。
「Borderline」(1980)「Slide Area」(1982)
そして今回入手できた「Get Rhythm」(1987)
(オリジナルアルバムは少ないが、前述のようにこの時期はサントラのアルバムを多く出している)
amazon のレビューなどを読むと
この3作の中では「Get Rhythm」の評判が最も良いようだ。
確かに、ボーダーレスのごった煮感の密度がそれまでで最も濃く、
もはや何のジャンルという区別がつかない、ライ・クーダーとしか呼びようのない音楽。
その中に自作曲”Going Back To Okinawa” の沖縄音楽が出てきても何の違和感がない。
それまでのライ・クーダーの集大成。
90年代以後のアルバムの青写真のようでもある。
70年代・80年代のアルバムはその時々の気分を
1曲の演奏に込めたものの寄せ集めであった。
しかしそのモザイクを組み立てる手つきが鮮やかだった。
それが90年代以後のアルバムでは
「Chávez Ravine」(2005)の住み慣れた地区を追われる人たち、
「My Name Is Buddy」(2007)の放浪、
どちらも社会の底辺に生きる人たちへの温かいまなざしがある、
といったストーリーを語るための器となった。
素材から器へ。
その転換点となってもおかしくない、懐の深さが「Get Rhythm」にはあった。
とはいえ正座して聞くものではなく、気楽に聞き流してもいい。
音楽とは何よりも楽しむこと。
一人でもいいし、皆でパーティーをするでもいい。
その姿勢がライ・クーダーのアルバムにはいつもある。
そういえば、「Bop Till You Drop」(1979)は
世界最初のデジタル録音のアルバムなんですよね。