先週買ったCD #88:2022/06/13-2022/06/19

2022/06/15: TowerRecords 光が丘店
Bobbie Gentry 「Ode To Billie Joe」 (\1078)
※dポイントで支払う
 
2022/06/16: tower.jp
Jeff Porcaro 「Session Works II」 (\2096)
タワレコのポイントで支払う
 
2022/06/16: www.amazon.co.jp
Altered Image 「Epic Years: 4CD Box Set」 \4148
 
2022/06/17: www.amazon.co.jp
Tudexomoon 「Pinheads on the Move」 \1130
Inspiral Carpets 「Radio 1 Sessions」 \630
Pop Will Eat Itself 「At Weirds Bar and Grill」 \437
 
2022/06/17: 無印良品 リヴィン光が丘店
(V.A. 無印良品) 「BGM+011 Clara Bellar / Meu Coração Brasileiro」 \1990
 
2022/06/17: tower.jp
(V.A.) 「Subterranean Modern」 \2421
 
2022/06/18: BOOKOFF 荻窪駅北口店
Anita Baker 「Sweet Love(Live)」 \550
 
2022/06/18: DiskUnion 中野店
Pearl jam 「Vitalogy (Legacy Edition)」 \1500
Jeff Porcaro 「Session Works II」 \1100
Prince 「Art Official Age」 \680
Stevie Ray Vaughan And Double Trouble 「Live At Montreaux 1982 & 1985」 \980
(Soundtracks) 「Jesus Christ Superstar」 \580
The Souljazz orchestra 「Solidarity」 \980
 
2022/06/18: diskunion.net
Tears For Fears 「Saturnine Martial & Lunatic」 \680
Eden Atwood 「Waves The Bossa Nova Session」 \1150
 
2022/06/18: www.amazon.co.jp
Jody Watley 「flower」 \400
 
2022/06/19: diskunion.net
DJ MURO 「King of Diggin' - Diggin' OST」 \1300
浅川マキ 「Maki Asakawa UK Selection」 \2350
Eden Atwood 「There Again」 \2250
 
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(V.A.) 「Subterranean Modern」
 
誰が何と言おうと、今年No.1の再発にして問題作。
1979年に発売されて以来、80年代前半に何度か再発されただけ。
もちろんアナログレコードの時代。CDはおろかカセットテープでも存在しない。
それが遂にCDで再発された。
再発されたことが問題だし、再発されなかったこともまた問題だった。
少なくとも僕はニューウェーヴを聞き始めて以来、30年間待ち続けた。
 
70年代前半、Residents が始めたレーベル ”Ralph Record” によるオムニバス。
Chrome / MX-80 Sound / Residents / Tuxedomoon という
当時どこにもカテゴライズしようのないヘンテコな音楽をやっていた4組が
3曲ないしは4曲ずつ提供。
そのうち1曲はフランク・シナトラジュリー・ロンドンブレンダ・リー、ペギー・リー、
ジャン&ディーン、トニー・ベネットらが歌った
”I Left My Heart In San Francisco” (思い出のサンフランシスコ)をカバーするというもの。
 
正直、このアルバムに収められた楽曲は他では聞けない珍しいもの、というわけではない。
今ではそれぞれのアーティストの未発表曲集になんらか収められている。
Chrome の3曲
Anti-Fade /  I Left My Heart In San Francisco / Meet You In The Subway
は2003年の「Anthology 1979-1983」で
 
MX-80 Sound の3曲
Lady In Pain / I Left My Heart In San Francisco / Possessed
は1990年の「Das Love Boat」で
 
Redidents の4曲
I Left My Heart In San Francisco / Dumbo The Clown / Is He Really Bringing Roses? / Time's Up
は1991年の「Residue Deux」で
 
Tuxedomoon の3曲
I Left My Heart In San Francisco / Everything You Want / Waterfront Seat
は1983年の「Pinheads On The Move」で
それぞれ聞くことができる。
(ただし、MX-80 Sound は”I Left My Heart In San Francisco” のみだけど)
 
今回の再発は Klanggalerie というレーベルから出ている。
聞いたことがなかったんで、海賊盤だろうか? と一瞬思ったけど
再結成後の Chrome のアルバムもここから出ていたのでそのつながりなのかもしれない。
そもそも僕がこの再発を知ったのは Tuxedomoon のブレイン・L・レイニンガーの
facebook の投稿だったのでかつてのメンバーたちにとっても公認の再発なのだろう。
 
聞いてみる。
Chrome と MX-80 Sound はまだアルバムを1枚か2枚出したばかりの頃か。
Chrome は後の、工業排水で錆付いた金属のような確信に満ちた音ではなく、
MX-80 Sound もまだ手探りだ。けたたましいサックスも入っていない。
 
Residents は代表作「Eskimo」の頃なのでさすがに仕上がり具合が違う。
どの国ともどの時代とも判別つかない、真に無国籍な音楽をやっている。
どこから来てどこに向かうのか分からない、夢の中で聞く音楽のような。
クレジットを見たら Henry Cow / Art Bears / Massacre などのギタリスト、
フレッド・フリスがゲストで参加していた。
彼もまた Ralph Record からソロアルバムを出している。
調べてみたら「Gravity」(1980)や「Speechless」(1981)がそうだった。
 
”I Left My Heart In San Francisco” の競作は Tuxemoon が一番よくできている。
電話越しの男女の会話。その背後にこの曲がハーモニカで演奏されている。
サンフランシスコ時代に一時的にメンバーだった
ギタリストのマイケル・ベルファーが参加しているので
”Waterfront Seat”など、彼らにしては珍しくギターが前面に出て空間を埋め尽くしている。
この3曲を収録の、アルバム未収録の楽曲を集めた「Pinheads On The Move」は
彼らの代表作のひとつ。
ブリュッセルに渡る前、耽美的な方向に向かう後期に対する前期、サンフランシスコ時代の
彼らの多様性、可能性、ほの暗いイマジネーションがギュギュっと詰め込まれている。
(なお、「Holy Wars」(1985)らと共に国内盤が出たとき、
 マスタリングはセイゲン・オノ小野誠彦)が担当している)
 
裏ジャケットにはそれぞれ、メンバーの写真が。
Residents はゴールデンゲートブリッジを背景に例の目玉のオヤジとシルクハットにステッキ。
飛行船も浮かんでいる。ぶれない、いつもの Redidents の姿。
Tuxedomoon はなぜかメンバー個別の指先や鼻先の写真4枚。
Chrome はダモン・エッヂとクリオス・へリードともうひとりの、よく見る写真。
彼らもシルクハットにステッキだけど『時計仕掛けのオレンジ』のよう。
MX-80 Sound はメンバーの一人の腕が長く伸びて他のメンバーにつながってるという。
ただ単にホースに腕を突っ込んだだけか。プリミティヴだけど面白い。
こういったところにもそれぞれのグループの個性が出ている。ほんとバラバラ。
なんつうか、『みんな違ってみんないい』ってこういうことか。