朝食デート

先々週の『酒のツマミになる話』に出たウエンツ瑛士が面白いことを言っていた。
同じくゲストだったチャン・グンソクが日本でデートをするならどこがいいですか、みたいなことを聞いた。
それに対しウエンツ瑛士が、築地本願寺のカフェで朝食をとるのがいいと言う。
細かく格子で区切られたプレートに色とりどりのおいしいものがちょっとずつ乗っている。
続けて彼は言う。
朝食デートに誘ってOKだったら、その娘とはいい感じになれると。
 
なるほどと思う。なんかそれわかる。
朝というのはプライベートな時間帯に属していて、
そこを共有できるということはかなり心許していると思う。
パブリックな自分になる前、というか。
朝食というものもその準備の行為であって。
起きたばかりの素の自分を整えて、ドアの外に送り出す。
朝食デートがドアの外の行為だとしても
プライベートとパブリックの境目の微妙なところにある。
そのギリギリのところを見せられる、ということ。
 
逆に考えると、一日の終わりに近づく時間帯を共有できるなら、それも同じことだと思う。
夜、おしゃれなレストランや落ち着いたバーなどでパブリックな自分を互いに提示しあった後で
夜も更けて小腹が空いたからと路地裏のラーメン屋や屋台に入れたらそれもまたOKのサインじゃないか。
朝食ではなく、夜食の共有。
 
いや、そういうことじゃなく、食べている間、食べるものを選んでいる間に
どれほど親密な雰囲気を会話やちょっとした振る舞いに出すかどうかでしょう、
と思う人もいるかもしれない。
でもどんな些細なものであれ、どんな手段であれサインは見つけたいもので。
 
また別の視点から逆に考える。
それまでどんな親密な関係にあった二人も朝食や夜食を共にしなくなったら
それは距離が空き始めているということになるだろう。
 
などなど。
ちなみにこの回でウエンツ瑛士は「他人というものに興味がない」みたいなことを言っていたが、
それは男性という他人の話であって、女性には興味があるということでよかったのだろうか。