夜、ご飯を炊いて何か一皿料理を、というとき、必ずサラダを添えるようにしている。
レタス、トマト、ブロッコリースプラウトは野菜室に常備してあって、
缶詰のコーンやミックスビーンズなどをその時々で追加する。
近くのスーパーで小分けにした大根サラダが半額になっているのを見つけて、とか。
時々、ドレッシングを自分で作る。
と言ってもレパートリーは一種類だけで、
ボウルに酢、オリーヴオイル、塩、胡椒を入れてかき混ぜるというもの。
さっぱりしていておいしい。
母が作ってたとかレシピサイトを見たというのではなく、
小学校高学年の時、家庭科の時間で習った。
何回かあった調理実習のうちのひとつ。
あの頃はオリーヴオイルではなくただのサラダオイルだった。
胡椒も入れてなかった。後から僕が足すようになった。
キュウリを切ってかけて食べたように思う。
調理実習というものをとても楽しみにしていたが、
蓋を開けてみたら1回目がほうれん草の炒めもので一口のみ。
2回目がその、キュウリのサラダだった。これも一口。
なんだ、ケチだな。
家では出ないものをあれこれたくさん作って腹いっぱい食べたいな、
と子供心に思うも、予算がほとんどなかったのだろう。
今にして思えば、あれこれやりくりしてようやく捻出したメニューだった。
小学校は担任の先生が多くの教科を担当するものだが、
音楽と家庭科は別の先生が来ていた。
家庭科は年老いた女性の先生だった。
一歩引いたところでよく喋る、そんな感じの人だった。
高校生になって、冬は雪が積もって自転車に乗れないので津軽線で通学する。
ある日、車両の反対側に先生が立っているのを見かけた。
1人だから当然無言なんだけど、気配を消すかのように物静かな佇まいだった。
今は別な小学校に転任となったのだな、ということを思った。
先生を見かけたのは一度きりだった。
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教材用の裁縫箱をクラス全員が買って縫物をすることもあった。
雑巾を作ったんじゃないかな。
母がしばらくの間、その雑巾を使っていたように思う。
久しぶりに家庭科の先生を思いだした。