先週買ったCD #184:2024/04/29-2024/05/05

2024/04/29: www.amazon.co.jp
Bunny Wailer 「Blackheart Man」 \684
 
2024/04/30: BOOKOFF 埼玉三郷店
Rufus & Chaka Kahn 「Masterjam」 \693
The Deer Tracks 「Eggegrund & Aurora」 \330
Jimi Hendrix 「West Coast Seattle Boy」 \1430
 
2024/04/30: BOOKOFF 朝霞台駅前店
家入レオ 「LEO」 \330
Robert Wyatt 「Cuckooland」 \792
Ornette Coleman & Primel Time 「Virgin Beauty」 \ 693
 
2024/04/30: www.amazon.co.jp
Jesud Lizard 「Show」 \449
 
2024/05/02: BOOKOFF 吉祥寺駅北口店
Morgan Fisher 「peace in the heart of the city」 \623
Roland Kirk 「Volunteered Slavery」 \792
Peggy Lee 「Beauty & The Beat!」 \990
(V.A.) 「リサとガスパールのクラシック」 \2178
 
2024/05/02: メルカリ
Robert Wyatt 「Theatre Royal Drury Lane」 \1480
 
2024/05/02: ヤフオク
Robert Wyatt 「His Greatest Misses」 \1100
 
2024/05/03: DiskUnion 新宿ジャズ館
Art Blakey & Jazz Messengers 「Night In Tunisia」 \980
 
2024/05/04: BOOKOFF 自由が丘駅前店
kainalu 「lotus gate」 \330
 
2024/05/04: 青熊書店
Art Blakey 「The Jazz Messengers」 \990
 
2024/05/05: diskunion.net
Alpha & Omega 「Everyday Life」 \2150
Alpha & Omega meets Dub Judah 「Almighty Jah」 \3050
 
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Robert Wyatt 「His Greatest Misses」
 
ロックのヴォーカリストというと、僕は真っ先にこの人を思い出す。
坂本龍一の1989年のアルバム「Beauty」に
”We Love You” というストーンズのカバーが収録されているが、
教授は『世界一物悲しい声』に歌ってもらいたいとレコーディングへの参加を懇願したのだという。
 
U2のボノや『ボス』こと、ブルース・スプリングスティーン
彼より巧く歌う人、ステージでカリスマ性を発揮する人はいくらでもいる。
でもやはりこの人なのだ。
機会があったら ”Memories Of You” のカバーを聞いてみてほしい。
(もともとはシングルのB面だが、1993年の「Mid Eighties」といったコンピに収録。
 A面はエルヴィス・コステロの ”Shipbuilding” のカバーだった)
確かにこの声は、世界一物悲しい。
 
60年代、70年代の英ジャズ・ロックの泰斗Soft Machine
初代ドラマー、ヴォーカルとしてデビュー。
初期のアルバムに参加していたが(特に1970年の3作目の ”Moon In June” が素晴らしい)
1971年の4作目を最後に脱退。
(以後、Soft Machine は目まぐるしくメンバーチェンジを繰り返していく。
 そもそも中心人物がデヴィッド・アレン 、ケヴィン・エアーズ、マイク・ラトリッジ、
 カール・ジェンキンス、ジョン・エサリッジなどとその時代ごとに変わるバンドだった)
 
しかし、1972年、パーティーで酔っぱらっての転落事故で下半身不随に。
ドラムの演奏を諦め、ヴォーカルに専念することになり、
多くのミュージシャン仲間に支えられ、1974年「Rock Bottom」で復帰する。
その事故ゆえに物悲しいということではなく、
Soft Machine 時代から独特な詩情と諦念があった。
それと同じく、アヴァンギャルドなポップ感もあった。
 
ゴールデンウィークの30日、武蔵野線IKEA に行った帰りに朝霞台ブックオフに立ち寄る。
そこで2003年の「Cuckooland」の国内盤が安く売られているのを見つけ、購入。
特定のジャンルに縛られない、自由なマインドが静かに咲き誇るような音楽だった。
ああ、もっと聞きたいと思って
ヤフオクで「His Greatest Misses」(2004)というベストアルバムを、
メルカリで「Theatre Royal Drury Lane」(2005)という1974年のライヴアルバムを。
特に後者、1970年代は物悲しさよりもアヴァンギャルドなポップ感の方が勝っていて、
ロックのコンサートとして一聴してすぐわかる名盤だった。
復帰したロバート・ワイアットを皆で盛り立てよう、という意気込みが素直にみなぎっていたのだと思う。
メンツがなんといっても凄い。
ギターに Henry Cow のフレッド・フリスや「Tublar Bells」のマイク・オールドフィールド
ベースに Soft Machine のヒュー・ホッパー、ドラムに Pink Floyd のニック・メイスン。
しかも冒頭の司会がラジオDJジョン・ピールBBC「Peel Session」の。
 
前者も「Nothing Can Stop Us」(1981)や「Shleep」(1997)といった名アルバムから選ばれ、
前述の ”Shipbuilding” ”Memories Of You” などの代表曲をまとめて聞くことができる。
彼はカバーの選曲とアレンジが絶妙で、
モンキーズの ”I'm A Believer” や Chic の ”At Last I Am Free” は彼のオリジナルにしか聞こえない。
(彼はソングライターとしてはかなり寡作であるという)
 
それにしても。
1970年代前半の不慮の事故によって車椅子での生活を余儀なくされた名ドラマーということで
どうしても富樫正彦と重ね合わせてしまう。かなりベタだけど。
どちらも独特な詩情を、孤高の存在感を湛えているが、
その詩情やドラムのスタイルが似ているわけではない。
ロバート・ワイアットは歌に専念したが、富樫正彦は残された腕だけで演奏するスタイルを確立した。
どちらにせよ、ドラマーである以前にミュージシャンとしての、人間としての、強い意志のようなものを感じる。
その導く力に聞き手は魅了されるのだと思う。