先週買ったCD #203:2024/09/23-2024/09/29

2024/09/26: www.amazon.co.jp
Marianne Faithfull 「Live At The BBC」 \1358
 
2024/09/27: DiskUnion 新宿中古センター
PJ Harvey 「Stories From The City, Stories From The Sea」 \680
Esperanza Spalding 「Emily's D+Evolution」 \1100
Dr.Feelgood 「Live At The BBC」 \1100
 
2024/09/28: DiskUnion 下北沢店
Penny Goodwin 「Live」 \880
The Chi-Lites 「A Lonely Man」 \980
 
2024/09/29: BOOKOFF 練馬光が丘店
The Roots 「Things Fall Apart」 \642
 
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Marianne Faithfull 「Live At The BBC
 
人間どこかゲスなところがあるもので、
転落の人生、堕落の人生というものに心惹かれてしまう。
ロックミュージシャンだと麻薬に溺れるとか、
アル中になって演奏ができなくなるとか。
天才的な才能があればあるほど、落差が大きくなる。
それを僕らはジェットコースターのように楽しむところがある。
 
その際たるものがマリアンヌ・フェイスフルであって。
元々は貴族の家系の生まれ、
若くして結婚してパーティーで出会ったのがストーンズのマネージャー、アンドリュー・オールダム
その美貌ゆえにトントン拍子でデビュー。アイドル歌手となった。
”As Tears Go By” がミック・ジャガーキース・リチャーズにより書かれた。
離婚してミック・ジャガーの恋人になる。
華やかな世界の光と影があったのだろう、
麻薬中毒となってモルヒネを打つ姿から書かれたのが ”Sister Morphine”
マリアンヌ・フェイスフルの歌うバージョンは発禁となり、
後にストーンズの「Sticky Fingers」(1970)に収録された。
 
そこで普通は表舞台から姿を消すのだろうけど、彼女は後に復活する。
1979年の「Broken English」は鬼気迫る名盤だった。
酒と煙草でしわがれた、
トム・ウェイツも思わず裏口から逃げ出したくなるようなドスの利いた声。
ジョン・レノンの ”Working Class Hero” をカバーしている。
労働者階級に限らず、すべての虐げられた人に捧げる
地獄の窯が開いたかのような歌。
ニューウェーヴやレゲエなど時代の音を取り入れつつ、とことん日陰な演奏。
ここまで禍々しいものと聖なるものとが表裏一体となった音楽は
(先日、2枚組の Deluxe Edition を入手。
 2枚目に ”Sister Morphine” の12インチシングルのバージョンが収録されていた)
 
その後コンスタントにアルバムを発表。
「Horses and High Heels」 (2011)なんかもよかった。
ハル・ウィルナーがプロデュースし、
ルー・リードドクター・ジョンがゲストで参加している。
 
僕としては「Broken English」以後なんだけど、
60年代のアイドル時代の歌声もいい。
イノセントでピュアということはさすがになく、
声の低さもあって、どこか後の陰りにつながるものがある。
60年代半ばのため、バックは弦楽器も入った英フォーク系ポップソング。
 
今回入手したのはその頃の「Live At The BBC
いろんなミュージシャンが出してますね。
BBCのラジオ番組で収録したスタジオライヴを編集したもの。
1回10分ほどの番組で、3曲ずつ歌ったのを集めている。
冒頭、番組の司会が語って歌い始める、
後半簡単なインタビューも挟まるという。
 
有名なところではビートルズの ”Yesterday” や、くだんの ”As Tears Go By” など。
他、彼女のシングルで発表された曲たち。
 
こういうとき、後の姿を重ね合わせて聞くのが正しいのか、
全ての予備知識を排除して音だけを聞くべきなのかいつも迷う。
マリアンヌ・フェイスフルについては前者かな。
当時のアイドル・ポップとしてはそこまでとびぬけた存在ではないのかな。
例えば、サンディー・ショウの方がシンガーとしての個性、声を確立しているように思う。
この時期のマリアンヌ・フェイスフルも悪くはないんだけど。