本を出します その12

出版社より色校が届く。カラーの部分の試し刷りのようなもの。
・カバー、帯
・表紙
・本扉


なんだかそれらしいものに仕上がっている。
表紙は実際に使われるのと同じ紙にカラー印刷されている。
手で触ってみる。
「あーこんな感じになるのか」と思う。
ISBNのコードが振られ、裏表紙にはバーコードも入っている。
そのことに何よりも「おお」と感動させられる。
書籍として曲がりなりにも一人前という認定をされたようなものだ。
自費出版だと確かISBNのコードが振られることはないはずで。


以前デザイナーの方が作成したばかりの見本を
普通のカラーコピーでもらったときの表紙はベタッとしていて
「果たしてこれでいいのだろうか」と悩みだし、
「ここの色は変えたほうがいいのではないか」なんて
素人ながらも意見を言っていたものであるが、
編集の方から実際に出来上がったものとなると
また雰囲気が変わりますと言われたのでそのままにしておいた。
確かに変えなくてよかったと思う。OKを出す。


2回目の校正作業終了後の
さらなる文章の手直しもメールのやり取りで昨晩完了。
これで僕の側の作業は一通り終わった。
後は実際に印刷・製本されるのを待つだけ。

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営業の方からも「出版オプションのご案内」というのが届く。
一言で言うと著者の身内のための販促で使うあれこれを有料で行いますよというもの。
・書籍献本発送代行
・書籍紹介チラシ作成
・書籍案内ハガキ作成
・書籍案内ハガキ発送代行
さらに新聞広告や雑誌広告まである。
上の4つについては具体的に金額が○○○枚で×万円とそれぞれ価格が決まっているが、
新聞や雑誌の広告を打ったらいくらぐらいかかるんだろう。
時価」みたいなものなんだろうな。


利用しなきゃ追加費用は発生しないというので僕はこういうの一切利用しないことにする。
あんまりそういうことする気はない。
やるとしたら全部自分で。
身の周りの人たちへの「本が出ました」という連絡は自らメールを書くし、
お世話になった人に本を送るときは自ら手紙を書いて梱包する。
その方がお金がかかったとしても。

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ぼやぼやしているうちに本が出来上がって発売日が来てしまう。
実感があるようなないような。
無名の人が出す本なので、まあぶっちゃけた話書店に並ぶことはほとんどないと思う。
実用書でもないし。
埋もれたまま、消えていくんだろうな。
後ろ向きだけど、現在の出版事情を考えるとそういうふうに思わざるを得ない。
この本が売れる根拠、書店の人が置いてくれる根拠って今のところ全くない。
住宅街の真ん中でいきなり開店し、
客が全然入っていない喫茶店や食堂の類いを僕は今思い浮かべている。


なんかの間違いでいいから、売れてくれないものだろうか。
切にそう願う。