本を出した出版社が倒産した その7(その後のこと2)

日テレの今日の朝のワイドショーにて
自費出版会社が倒産」ということで取り上げられた。
平日の朝なのでもちろん見ていないのだが、
社長自ら出演し、被害にあった著者も何人か出演したようだ。
電車に乗っていると友達からメールが届く。
「社長が今 4ch 出てるよ〜
 出演者に超糾弾されてる
 すごい」


家に帰って来ると母からも留守電が入っていた。
「トヨヒコが本出した出版社の社長が、今、
 倒産したあれで、言い訳言ってるよ」


僕はいいとして母が何と思うか。
「息子は東京で詐欺にあった、お金を騙し取られた」
と思われてたら、なんだか嫌だな・・・
親戚にも本を配っているし。
母はたぶん「息子が本を出した」ということで
喜んで周りに配ったのだと思う。
そのときの姿を思い浮かべるとつらい。
つらいというか、ゾッとした気持ちになる。


実は日本テレビの方からは昨日、
「岡村日記」を読みました、取材に協力いただきたい
ということで僕宛にメールが届いていた。
読んだのが夜遅かったし、
僕だけじゃなくてあちこち当たって
まあ誰か見つかってなんとかなってるだろうと思ってそのままにした。
この件でテレビに出るってのもなんだか気が進まないし。
(薄暗い部屋で、声を変えて、顔にモザイクをかけられて、
 ボソボソと証言している僕の姿を思い浮かべた)


番組が放送されたということは証言する人が見つかったってわけだし、
それはつまり言いたいことがある、どうしても言いたい人がいるということだ。
そういう人の方がやはり、望ましいと思う。テレビならば。


日テレだけじゃなくて、
家に帰ってきてメールを見たら他のテレビ局からも同様の依頼がなされていた。
mixi の参加者に連絡をお願いしたいということだったので、
スレッドを立てて依頼内容を書き込んでおいた。
僕のこの件の関わり方って、これが精一杯か。
自分から率先して状況を切り開くような意欲も時間もないし、
それ以前にそもそもそれほど怒ってない・・・


マスコミ関係者に限らず、何人か日記読んだ人から個人的にメールをもらった。
どういう物事を僕に期待しているのか、
とにかくお会いしたい、話がしたいという人もいて驚いた。
メールを頂いた方には皆結局、mixi を紹介して、
そのうちの何人かは招待メールを送るという対応を取った。
それ以上のことはしなかった。というかできなかった。


mixi碧天舎のコミュニティでは今、
あちこちのルートを通じてなされた
マスコミ各社からの取材依頼のスレッドが立っている。
大手新聞各社に、テレビ局。
読売新聞は既に記事を発表し、朝日新聞は明日とのこと。


一連の報道で、何がどうなっていくのだろう、と思う。
この事件の闇の部分が明らかになるのだろうか?
社長の社会的責任が問われて、制裁が加えられるのか?
「こういう事件があって、被害者がいて、救われないままとなりそうだ」
自費出版業界って実はこれこれこういうものなのだ」
という単発の紹介となって終わりとなってしまわないか。
読者や視聴者の反響がなかったら、一度きりとなってしまうんだろうな。
マンションの耐震強度偽装問題とは性質が違うし、
ライブドアの株主1200人が訴訟を起こしたってことで
新聞の一面に載ってたけど、そういうのとも違う。
社会的な関心は得られないのかもしれない。


マスコミが社会的な制裁を下すのではない。煽りはするかもしれないが。
それは結局、事態に直面した人々の連帯がなすものなのだ。
そこまで、たどり着けるだろうか。
被害者として意思表明する人の絶対数はそれほど多くないだろうし、
その全体像を掴んで、束ねていくような組織もない。
小さな一個人の「負けてたまるか」という思いが
散発的に先行きのあぶり出しを行っているだけ。
管財人と交渉する団体もないと言えばないし、
倒産に至る経緯を明るみに出す機関もない。
見ててはがゆいが、世の中、そういうものなのか。